食用油中の3-MCPDとグリシジルエステルの高速GC-MS分析
Rxi-17Sil MSによる3-MCPDとグリシジルエステルの分析
- 最適化されたGC条件でAOCS Cd 29c-13メソッドの要件を満たします。
- スプリット注入を使用することで、分析時間を8分短縮し、誘導体化試薬によるダメージを軽減することができます
- PTVもしくはスプリット/スプリットレス注入口を使用できるフレキシブルな分析法です。
食用油中の3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)脂肪酸エステルとグリシジルエステルは、精製過程における汚染物質です。摂取す ると、これらの化合物は発がん性もしくは遺伝毒性の可能性を有する遊離のMCPDとグリシドールを放出します。最も一般的な分析法は、試 料中のエステルを加水分解し、誘導体化後にGC-MSで分析する間接的なものです。AOCS Cd 29c-13やその国際規格(ISO 18363-1)もしくはド イツ油化学会法 (DGF C-VI 18 (10))のような分析法が通常使用されています。サンプル前処理過程において、酸性条件下で遊離グリシドール は3-MCPDへと変換され、3-MCPDエステルから遊離した3-MCPDと一緒に測定されます。クロマトグラフィー条件としては、PTV注入口をスプリ ットレスモードで使用する必要が生じ、オーブン初期温度を85℃にし、溶出の早い成分をシャープで対称なピークにする溶媒フォーカシン グが必要となります。AOCS Cd 29c-13で示されているような昇温プログラムをおこなうと、最終的な分析時間は24.8分となります。
そこで、3-MCPDとグリシジルエステルの分析時間を短くするために、AOCS Cd 29c-13の試料導入法とオーブンプログラムの最適化をおこ ないました。まず、スプリット注入に変更しました。これにより誘導体化試薬がシステムへ入る量が減るため、カラムとMSに優しくなり、メン テナンス頻度や交換頻度を下げることができます。また、スプリットレスに比べて、注入口からカラムへの試料の移動が速くなり、溶媒フォー カシングは不要なため、オーブン初期温度を上げることができます。オーブン初期温度を120℃に上げると、ピークはシャープになり、スプ リット比10:1でも必要な検出限界を達成できました。また、昇温速度を6℃/分から12℃/分へ変更すると、なんの弊害もなく分析時間の短縮 ができます。オーブンの最終温度を高くすることは、カラムから高分子量の汚染物質を除去するのに効果的です。ここで示した最適化条件 は、AOCS Cd 29c-13の分析時間を8分も短縮し、PTVと専用スプリット/スプリットレス注入口の両方で実行でき、いずれの場合でも分析時間 の短縮と食用油中の3-MCPDとグリシジルエステルの分析条件の柔軟性を実現します。
Peaks | tR (min) | Conc. (ng/mL) | |
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1. | 3-MCPD-d5 PBA derivative | 5.937 | 1.81 |
2. | 3-MCPD PBA derivative | 5.977 | 2.94 |
Column | Rxi-17Sil MS, 30 m, 0.25 mm ID, 0.25 µm (cat.# 14123) |
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Standard/Sample | Extracted olive oil |
Diluent: | Isooctane |
Injection | |
Inj. Vol.: | 1 µL split (split ratio 10:1) |
Liner: | Topaz 4.0 mm ID Precision inlet liner w/wool (cat.# 23305) |
Inj. Temp.: | 280 °C |
Oven | |
Oven Temp.: | 120 °C (hold 0.5 min) to 180 °C at 12 °C/min to 330 °C at 25 °C/min (hold 5 min) |
Carrier Gas | He, constant flow |
Flow Rate: | 1.4 mL/min |
Detector | MS | |
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Mode: | SIM | |
SIM Program: | 147, 150, 196, 201 m/z, 50 ms dwell | |
Transfer Line Temp.: | 320 °C | |
Analyzer Type: | Quadrupole | |
Source Temp.: | 230 °C | |
Quad Temp.: | 150 °C | |
Instrument | Agilent 7890A GC & 5975C MSD | |
Sample Preparation | The olive oil sample was spiked with 3-MCPD-d5 ester and prepared according to AOCS method Cd 29c-13. |