LPGC-MSによるMCPDの高速分析
Featured Application: MCPDs on LPGC Rxi-17Sil MS
- 従来のGC-MS分析より2倍の分析スピード
- 従来のGC-MS法と比較してヘリウム使用量を69%削減
- Rxi-17Sil MSキットは、出荷前にリーク検査を実施しており、通常のキャピラリーカラムのように簡単に取り付け可能
MCPD(モノクロロプロパンジオール)は食品加工の加熱工程で生成される可能性がある危険な不純物であり、MCPDについての研究と検出は、食品安全における重要な課題となっています。特に植物油やパーム油といった精製油から、この種の不純物が検出されることが多く、また、これら精製油を配合した乳児用粉ミルクなどの加工食品からもMCPDは多く検出されます。MCPDは通常、高度なガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)を用いて分析されますが、その手法には時間がかかり、コストが高いという問題があります。
現在、多くのラボでは、MCPDの分析において、5%ジフェニル、95%ジメチルポリシロキサンまたは50%ジフェニル、50%ジメチルポリシロキサン固定相を持つ30 m x 0.25 mm内径 x 0.25 μmのキャピラリーカラムを使用しています。従来のGC-MSでは分析時間が12分以上と長く、結果として1分析あたりに消費するヘリウムの使用も多く、サンプル分析コストを押し上げる要因となっていました。
大量のサンプルを処理する必要があるようなケースにおいてヘリウムコストを節約するには、サンプルスループットを向上させ、分析時間を短縮することが必要となります。しかしながら、MCPD分析における分析時間の短縮は、重要な異性体の分離悪化を招く可能性が高く、結果としてスループットを改善しながら、分離性能を維持することは、MCPD分析において非常に難しい課題として存在しています。
そこで注目されるのが、低圧ガスクロマトグラフィー(LPGC)という技術です。この技術は、カラム内圧力を低減することにより、分析時間とヘリウム使用量を削減することが可能です。当社のLPGC Rxi-17Sil MS キット(cat.# 11805)を使用することで、従来の方法に比べて分析時間が1/2に短縮、ヘリウム消費については69%も削減できることが実際の分析において示されています。これにより、ラボはより多くのサンプルをより効率的かつ経済的に分析できるようになります。
このLPGC技術は、2-MCPDや3-MCPDといった重要な異性体に対して優れた分離性能を持ち、誘導体化試薬成分とも十分な分離を実現します。また、カラム交換も容易で、通常のキャピラリーカラム同様に簡単にメンテナンスや交換作業が行えます。各LPGCキットは、リークがないことを保証するためにRestekの工場で個別に検査された後に出荷されており、Restekが掲げるPlus-Oneの品質基準に基づいて、お客様に安心してご使用いただける製品を提供しています。
この技術の導入により、食品安全性の確保とラボの運営コストの削減を同時に達成することが可能です。食品の安全と品質を守るためにも、新しい分析技術の導入とその有効活用をご検討ください。
LPGC技術の詳細についてはこちらをご覧ください:www.restek.com/lpgc