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よくある質問:低圧GC-MS (LPGC-MS)

  1. 低圧(Low-Pressure) GC-MS(LPGC-MS)とは何ですか?
  2. ラボにLPGC-MSを導入すると、どのようなメリットがありますか?
  3. 自分の分析がLPGC-MSに適しているかどうしたら分かりますか?
  4. 新しいLPGCカラムキットを取り付けたら、保持時間がずれてしまいました。これは正常ですか?
  5. ラボにLPGC-MSを導入するには、GC-MS装置やシステムの設定にどのような変更が必要ですか?
  6. LPGC-MSはスプリット注入とスプリットレス注入の両方で使用できますか?
  7. LPGCカラムキットと質量分析計(MS)を接続するカラムコネクタまたはユニオンの漏れをチェックする良い方法はありますか?
  8. LPGCカラムキットは特別なコンディショニングが必要ですか?
  9. 異なるカラム内径や膜厚(df)を使用したい場合、LPGC-MSで使用できる他のフォーマットはありますか?
  10. この技術を農薬分析で使用する場合、分析対象化合物保護剤(analyte protectants: APs)は必要でしょうか?私の装置でも欠かせないものでしょうか?
  11. リストリクタカラムをトリミングする必要がありますか?もしそうなら、どのくらいの頻度で?
  12. LPGCカラムキットの構成部品は個別販売されていますか?また、それらを自分で接続することは可能ですか?
  13. LPGC-MSアプリケーションのキャリヤーガスとして水素を使用できますか?
  14. LPGC-MSに切り替えると分離性能は落ちますか?
  15. リストリクタカラムと分析カラムを接続しているコネクタでリークが発生した場合、どうすればよいですか?
  16. LPGC-MSに必要なMSデータポイント数は?

1. 低圧(Low-Pressure)GC-MS(LPGC-MS)とは何ですか?

LPGC-MSは、特別に設計されたカラムキットをMSの真空システムに接続して分析を大幅にスピードアップする手法です。0.53mmまたは0.32mmの分析カラムをMSに直接挿入し、GCインレット側にリストリクタを接続することで、分析カラム内が低圧(真空)となり、その効果が得られます。カラム内の低圧環境により、カラムの最適線速度が向上し、分析スピードが大幅に改善します。ただし、カラムの理論段数は速度向上と引き換えになる場合があります。しかし、MSを使用することで、ほとんどの共溶出成分はMS分離が可能です。LPGC-MSの詳しい内容や、あなたのラボに適しているかどうかについては、 こちらの技術記事 でご確認ください。

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2. ラボにLPGC-MSを導入すると、どのようなメリットがありますか?

LPGC-MSの主な利点は、GC-MSの分析時間を大幅に短縮できることであり、場合によっては、以前の分析時間と比較して3倍以上のスピードアップが可能です。分析時間の短縮と生産性向上に加え、LPGC-MS法は従来のアプローチに比べてヘリウムの使用量を最大81%減らせるため、コストカットも可能です。

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3. 自分の分析がLPGC-MSに適しているかどうしたら分かりますか?

LPGC-MSはカラムの分離という点からいうと、カラム長が短いため、カラムの理論段数が低いという点はデメリットです。例えば、従来の方法で分離が難しい近接した異性体の分離などや、30mよりも長いカラムを必要とする分析では、高い分離性能が求められるため、LPGC-MSが適さないケースも多いでしょう。ただし、難しい異性体分離は不要であったり、現在30mのカラムで問題なく分離できているようなケースであれば、問題なくラボのメソッドとして採用できるでしょう。

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4. 新しいLPGCカラムキットを取り付けたら、保持時間がずれてしまいました。これは正常ですか?

通常、LPGC カラムキット間で保持時間にずれが生じることがあります。使用する手法や保持時間のモニタリング幅によっては、新しい LPGC カラムキットを取り付ける際に調整が必要になることがあります。しかし、カラムキットの寿命を通じて保持時間が大幅にずれることはなく、分析結果に影響を与えるほどの問題は発生しないと考えられます。

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5. ラボにLPGC-MSを導入するには、GC-MS装置やシステムの設定にどのような変更が必要ですか?

LPGC-MSを採用する際に必要となる主な変更点を以下に示します。また、これらの詳細については、こちらの技術記事で説明されています。

  1. LPGC カラムキットを取り付ける際、LPGC カラムキットとMSの接続には、内径 0.53 mm のカラムには内径 0.8 mm の Vespel/graphiteフェラルを、内径 0.32 mm のカラムには内径 0.5 mm の Vespel/graphiteフェラルを使用してください。60:40 Vespel/graphiteフェラルがあれば、そちらの使用を推奨します。LPGC カラムキットのリストリクタ側(インレット)には、従来の内径 0.25 mm のカラムに使用されるフェラルを使用します。
  2. 装置のソフトウェアに LPGC カラムキットを設定する際は、リストリクタカラム部分のサイズだけを入力してください。固定相膜厚(df)に分析カラムの固定相膜厚も設定できますが、装置の流量計算にほとんど影響しません。
  3. 分析速度を最大にするには、オーブンの昇温速度とキャリヤーガスの流量を高く設定すると良いでしょう。ただし、GCオーブンの最大昇温速度または質量分析計(MS)の最大キャリヤーガス流量を超えないようにしてください。
  4. 質量分析計(MS)は、LPGCメソッドで使用する流量条件でチューニングすることをお勧めします。
  5. 注意:新しい LPGC カラムキットを使用する場合、保持時間の確認/調整が必要になることがあります。溶出順序は変わらなくても、絶対保持時間が10〜20秒程度異なる場合があります。

LPGC-MSキットのインストールと最適化の詳細については、クイックスタートガイド (日本語記事準備中)をご覧ください。

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6. LPGC-MSはスプリット注入とスプリットレス注入の両方で使用できますか?

はい、LPGC-MSはスプリット注入とスプリットレス注入の両方に対応しています。

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7. LPGCカラムキットと質量分析計(MS)を接続するカラムコネクタまたはユニオンの漏れをチェックする良い方法はありますか?

最初に、大きなリークを特定するために、リークディテクタを用いて加圧ポイント(インレットなど)を確認します。フィラメントを破壊する可能性のある大きなリークを除去した後、質量分析計(MS)を使用して小さなリークの存在を検出します。質量分析計(MS)は小さなリークを特定するのに有効な方法ですが、リークの場所を特定することはできません。リストリクタカラムと分析カラムを接続しているカラムコネクタや、カラムと質量分析計の間のフィッティングのように、真空の影響が強いポイントでは、何らかの「エアー缶」(一般的にキーボードのホコリ取りに使用される)を使用したリーク確認をお勧めします。エアー缶には一般的にハロゲン化合物が含まれているので、質量分析計(MS)でのリアルタイムモニターが可能です。漏れが疑われる接続部の近くでエアー缶を短時間スプレーすると、ハロゲン化合物由来の関連するm/zイオンが上昇するので、漏れの存在と場所が確認できます。

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8. LPGCカラムキットは特別なコンディショニングが必要ですか?

LPGCカラムキットのコンディショニング手順は他のGCカラムと同じで、固定相によって異なります。カラムコンディショニングの詳細については、GCカラムのコンディショニングのビデオ(英語/日本語字幕付)をご覧ください。

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9. 異なるカラム内径や膜厚(df)を使用したい場合、LPGC-MSで使用できる他のフォーマットはありますか?

カタログのLPGCキットでは難しい場合、お客様のニーズに合わせたカスタム品のご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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10. この技術を農薬分析で使用する場合、分析対象化合物保護剤(analyte protectants: APs)は必要でしょうか?私の装置でも欠かせないものでしょうか? 

分析対象化合物保護剤の使用はLPGC-MS農薬分析に必須ではありませんが、結果(ピーク形状、検出感度、寿命)を改善できることはあります。こちらのブログ(日本語記事準備中) と 技術記事(日本語記事準備中) でさらに詳しい情報を提供しています。

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11. リストリクタカラムをトリミングする必要がありますか?もしそうなら、どのくらいの頻度で?

ピークの対称性と検出感度の低下が見られる場合、まず注入口の消耗品を交換してみてください。それでも解決しない場合は、リストリクタカラムのトリミングを行ってください。トリミングの長さはカラムのメンテナンス手順に従いますが、通常は 10 ~ 30 cm で十分です。リストリクタの長さは、流量と保持時間に影響するため、トリミングでリストリクタチューブが短くなりすぎた場合は、(a) 設定でリストリクタの長さを調整して流量は維持するか、または (b) マニュアルで流量を調整して元の保持に合わせるようしてください。

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12. LPGCカラムキットの構成部品は個別販売されていますか?また、それらを自分で接続することは可能ですか? 

LPGCカラムキットは、その構成部品を個別に販売していません。また、各部品をユーザーの皆さんが接続することを推奨していません。これは、LPGC-MS専用のキットは工場で正確に組み立てられたものであり、各接続部分が高い信頼性と気密性を保つように設計されているためです。自分で接続を行うと、漏れや性能の低下が発生するリスクが高まるため、標準的なカラムや部品を用いて同じ性能を実現するのは難しくなります。
そのため、LPGC-MSの性能を最大限に引き出すためには、メーカー推奨のキットを使用することが重要です。キットを使用することで、最適な接続が保証され、ラボでの使用においても最も信頼性が高く、コスト効率の良い選択となります。

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13. LPGC-MSアプリケーションのキャリヤーガスとして水素を使用できますか?

水素はGC-MSにおいていくつかの問題があり、安全性や影響について確認が必要なため、まずはLPGC-MSアプリケーションで使用する装置で水素をキャリヤーガスとして使用できるかについて、装置メーカーにご相談ください。たとえ安全であっても、水素は最適線速度が大きいため、MSの検出感度が低下する可能性があること、また、高流量に対応する真空ポンプが必要になることから、LPGC-MSでの水素の使用は推奨されません。

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14. LPGC-MSに切り替えると分離性能は落ちますか?

LPGCカラムキットを使用する場合、従来のカラムと比較して分離能が低下しますが、通常、質量分析計 (MS)の分離能によってクロマトグラフィーの分離度の低下を補うことができます。ただし、MS分離を利用する際には、同重体の化合物を注意深くモニタリングすることが重要です。

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15. リストリクタカラムと分析カラムを接続しているコネクタでリークが発生した場合、どうすればよいですか ?

LPGCカラムキットは、接続済みで販売されており、リークテストを実施して漏れがないことを確認してから出荷されています。長期間使用してリークが発生した場合は、新しいキットの購入をお勧めします。もしカラムが使用開始後すぐに漏れを起こした場合は、Restekまでご連絡ください。

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16. LPGC-MSに必要なMSデータポイント数は?

  1. 1〜2秒のピーク幅でも7〜8データポイントを取得できるスキャンレートを設定してください。スキャンレートが不足すると、正確なピークの形状が得られず、分析の精度や再現性が低下する恐れがあります。
  2. MS/MSの場合、十分な検出感度を確保するために、特定の化合物についてモニターするトランジション数を減らす必要があるかもしれません。

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