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GC注入口ライナーの選び方: 注入方法別の簡単なセレクションガイド

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GC注入口ライナーには、多くの種類がありそれぞれが異なる特性を持っています(形状デザイン、容量、内径、不活性処理、特定の充填物の有無等)。したがって、分析に最適なライナーを選ぶことは簡単ではありません。しかし、注入方法を決定することによってライナー選定は簡単になります。

高い精度と再現性のある安定した分析結果を得るためのライナー選定を注入方法別に見てみましょう。まず、スプリット注入には、Restekのウール入りTopaz Precisionライナーが、スプリットレス注入には、Restekのウール入りTopazシングルテーパーライナーが適していると言えます。ダイレクト注入に関しては、ドリル加工した(ホールが開いた)ライナーを選択します。ほとんどのアプリケーションでは、ライナーの上部にホールを備えたライナーが効果的です。一方、気体サンプルを扱う場合、注入口ライナーの内径を細くすることが推奨されます。これは、サンプルバンドをタイトに保ち、分離効率を高めるためです。PTV注入の場合でも、注入口に適合した、内径の小さいライナーが推奨されます。また、バッフルやディンプル付きのライナーを使用することで、注入の均一性と精度が向上します。

上記は一般的な指針として非常に有効ですが、実際の分析ではアプリケーションの特性に合わせて使用するライナーを決めるべきです。したがって、ライナー選定を行う際に、利用可能なオプションを十分に理解し、それがご自身の分析にどのように影響を与えるかを把握することが重要になります。以下に各特性の利点や注入方法の特徴についてまとめました。ライナー選定にぜひご活用下さい!

【目次】

形状

最もシンプルなGC注入口ライナーは、充填物の有無に関わらず、基本的にストレートのチューブ形状をしています。しかし、実際には特殊な形状で設計された注入口ライナーが数多くあります。それぞれの形状は主に、効率的な気化促進と、(特にスプリットレス注入時の)適切なサンプル保護を目的として設計されています。

気化促進

高沸点化合物と低沸点化合物、または非極性成分と極性分析対象物間でのディスクリミネーション(試料の組成変化が発生すること)を最小限に抑えるためには、気化のプロセスを最適化することが重要です。これを実現するのが、ガラスウールが充填された注入口ライナーです(Figure 1)。

Figure 1: Restek Topaz Precision liner with wool (ウール入りPrecisionライナー Agilent GC用) (cat.# 23305)
 
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サンプル保護

特に高温の金属表面と接触すると、注入口内部でサンプルが劣化しやすいという課題があります。このような影響を最小限に抑えるため、注入口とサンプルの接触を最小化することが重要です。これを実現するのが、特別に設計されたテーパ形状を持つライナーです(Figure 2Figure 5)。テーパ形状のライナーは、サンプルが注入口内に長時間留まるスプリットレス注入時に特に効果を発揮します。

Figure 2: Restek Topaz single taper liner(シングルテーパーライナー Agilent GC用) (cat.# 23302)
 
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Figure 3: Restek Topaz double taper liner(ダブルテーパーライナー Agilent GC用) (cat.# 23308)
 
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さらに、サンプルを適切に保護しながら気化を効率的に促進する機能を組み合わせたライナーもあります。

Figure 4: Restek Topaz single taper liner with wool(ウール入りシングルテーパーライナー Agilent GC用) (cat.# 23303)
 
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Figure 5: Restek Topaz cyclo double taper liner(サイクロダブルテーパーライナー Agilent GC用) (cat.# 23310)
 
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容量と内径

注入口ライナーのサイズを選択する際には、サンプル気化体積と線速度を考慮する必要があります。

サンプル気化体積

液体サンプルが注入口ライナー内で気化すると、その体積は大幅に膨張します。この膨張により、注入されたサンプルがライナー内で占める体積が増加し、最終的にライナーの有効容量を超えてしまうことがあります。このような膨張を適切に管理し、サンプルがライナー内で適切に収容されるようにすることが重要です。そのため、注入前にサンプルの膨張を予測し、使用するライナーの選定には注意が必要です。一般的なライナーの物理的容積と有効容量に関する詳細は、Table Iを参照してください。また、溶媒気化容量カリキュレーターを使用して膨張の影響を事前に計算し、ライナーの容量を超えないよう設定することが可能です。その計算結果の例については、Table IIをご確認ください。

Table I: 一般的なライナーの物理的容積と有効容量
    おおよそのライナー容量 (μL)
ライナー名 注入方法 物理的容積 有効容量*
3 mm ID Intermediate-Volume Liner スプリット/スプリットレス 520 260
3 mm ID Intermediate-Volume Liner for Shimadzu GCs スプリット/スプリットレス 520 260
4 mm ID Straight Liner for Agilent GC スプリット/スプリットレス 990 495
2 mm ID Straight Liner for Agilent GC スプリット/スプリットレス 250 125
5 mm ID Straight Liner for Thermo TRACE GC スプリット/スプリットレス 2060 1030
3.5 mm ID Straight Liner for Shimadzu 2010 GC スプリット/スプリットレス 914 457
4 mm ID Single Taper Liner for Agilent GC スプリット/スプリットレス 900 450
5 mm ID Single Taper Liner for Thermo TRACE GC スプリット/スプリットレス 2000 1000
3.5 mm ID Single Taper Liner for Shimadzu 2010 GC スプリット/スプリットレス 740 370
Double Taper Liner for Agilent GC スプリット/スプリットレス 800 400
Cyclo Liner for Agilent GC スプリット/スプリットレス 820 410
4 mm ID Low Pressure Drop Liner for Agilent GC スプリット/スプリットレス 850 425
1.5 mm ID Baffled Liner for Agilent GC PTV 150 75

* 有効容量は、物理的容積の約1/2です。

Table II: 溶媒気化容量カリキュレーターの結果例
  溶媒気化容量例
パラメータ 例 1 例 2
溶媒 ヘキサン
注入口圧力 (psi) 15.8 15.8
注入口温度 (°C) 250 250
気化容量 (μL) 159 1145

ヘッド圧 15.8 psi の場合、40 °C のオーブン内の 30 m、内径 0.25 mm のカラムでは、カラムフローは1.5 mL/minとなります。

線速度

内径の細いライナーを選択することで、所定の流量に対して線速度が速くなり、カラムへのサンプル移送速度が向上します。この結果、注入バンド幅が狭くなり、分離効率が向上するため、ピーク幅を狭く保つことができます。特に、揮発性の高い化合物を導入するパージ&トラップ法や静的ヘッドスペース法、またはナローボア(内径0.18mm、0.15mm、0.10mm)カラムを使用する場合において、内径の細いライナーは重要な役割を果たします。内径の細いライナーは、サンプルの移動速度を速め、注入口内での滞留時間を短縮するという利点により、効率的なサンプル注入が可能です。しかし、容量が小さいため、多量のサンプルを注入するとバックフラッシュのリスクが高まる点には注意が必要です。一方、大容量ライナーはその容量の大きさから多くのサンプルを注入できますが、流速が低いため、注入口におけるバンドブロードニング、分析対象成分の分解を引き起こす可能性があります。これに対して、中容量ライナー(例えば、cat.# 27231 and 27232)は、ナローボアカラムとの組み合わせにおいて特に優れた性能を発揮します。このようなライナーは、効率と性能のバランスを保ちながら、より多くのサンプルを注入することができ、分析性能を損なうことなく信頼性の高い結果を提供します。

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不活性処理

ライナーとその充填剤は、サンプルの吸着(可逆的または不可逆的)や分解を防ぐために、極めて不活性度の高い経路を提供する必要があります。クロマトグラフィーにおいて、レスポンスの低下、ピークの消失やテーリングといった問題の多くは、注入口ライナーの活性度が原因です。これらの影響は定量分析を複雑にし、特に反応性が高い分析対象成分においては、顕著な問題となることがあります。

RestekのTopaz注入口ライナーは、この課題に対する最適解を提供します。Topazライナーは、極めて高い不活性度を有しており、サンプルを正確にカラムに移動させ、良好なレスポンスと対称性の高いピーク形状を実現します。さらに、Topazライナー本体および充填されているウールには、最先端の不活性処理が施されており、反応性が高く相互作用を起こしやすい化合物に対しても、不活性な状態を保ちます。

「充填剤と充填位置」のセクションに記載されているように、ガラスウールは多くのアプリケーションにおいて、精密で正確な結果を得るために不可欠な要素です。しかし、従来のガラスウールは物理的および化学的に活性部位となり、サンプルとの望ましくない相互作用を引き起こす原因となる可能性があります。そのため、ライナーの活性度に関する懸念を排除し、ウールが提供するすべての利点を最大限に活用するためには、高純度で極めて不活性度の高いウールを使用することが重要です。

RestekのTopaz注入口ライナーには、一般的に使用されるホウケイ酸ガラスウールではなく、はるかに純度の高い溶融石英ウールを使用しています。しかし、不活性処理を施したウールであっても、充填までの取り扱い過程で再び活性化される可能性があります。そのため、Topazライナーではウールを充填した後に、不活性化処理(in situ処理)を施すことで、卓越した不活性度と製品の再現性を実現しています。

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充填物

ライナーの充填物と充填位置決めは、クロマトグラフィー分析において非常に重要な役割を果たします。これにより、サンプルの気化と均質化が改善され、不揮発性物質がカラムに入るのを防ぎます。特に、スプリット注入法やスプリットレス注入法での高分子量化合物の分析では、充填剤の選択とその配置が分析結果の精度と再現性に大きな影響を与えます。

充填剤と充填位置

ガラス(石英)ウールは、注入口ライナーで最も一般的に使用される充填剤であり、その気化促進作用や不揮発性化合物のトラップ能力に優れています。また、他の充填物と比較して非常に費用対効果が高い選択肢です。このため、クロマトグラフィーの分析においては、特にコストパフォーマンスを重視する場面で重宝されています。

特にスプリットレス注入時にオートサンプラーを使用する場合、ライナーの底部付近にウールを配置することが推奨されます。ウールがないと、サンプルは比較的長い時間ライナー内に滞留し、溶媒の蒸気が膨張する時間も増えます。その結果、溶媒と共に溶質(分析対象成分)がライナーの上部から排出されることがあります。ウールが底部に配置されることで、最も揮発性の高い成分以外の成分がウール内で気化し、溶媒のみがライナー内で膨張します。この配置により、分析対象成分がライナー内で確実に気化され、安定した分析が可能となります。

オートサンプラーによるスプリット注入では、ライナーの中央部や上部付近にウールを配置するのが一般的です。サンプルの注入口滞留時間が非常に短いため、サンプルが注入口のヒーティングゾーンにとどまることで、気化を促進させ、分析精度を向上させるためです。また、ウールはライナーの熱容量を増加、サンプル気化中の温度を安定させ、再現性を高める役割も果たします。さらに、RestekのPrecisionライナーは、ウールをライナーの比較的高い位置に配置しており、ウールの上下にガラスのくぼみをつけてウールを固定しています。(Figure 6)。これにより、シリンジニードルがウールに入る位置で注入することができ、ウールが針先を拭うことができます。この設計は、注入の再現性と正確さを向上させるとともに、サンプル注入時の問題を防ぎます。ただし、ニードルにバリがあるとウールの位置がずれ、効果が薄れてしまう可能性があります。そのため、このような注入技術を使用する際は、シリンジニードルのメンテナンスを行うことが非常に重要です。適切なメンテナンスにより、ウールの位置が正しく保たれ、安定した分析が実現します。

Figure 6: Restek Topaz Precision liner with wool(ウール入りPrecisionライナー Agilent GC用) (cat.# 23305)
 
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代替ウール

ウールを不活性化する技術が進展すれば、さまざまなアプリケーションで、より安定した性能が得られるようになります。というのも、微量のウール活性が問題となる分析が少なからずあるからです。こうした場合、特に注目されるのがサイクロダブルテーパーライナー(Figure 7)のような特殊なライナーです。このライナーは、充填物の活性に最も注意を払わなければならないスプリットレス注入において、非常に効果的な役割を果たします。ウールの不活性化技術とサイクロダブルテーパーライナーの組み合わせは、クロマトグラフィーの分野における新たな突破口を開くものとして、今後のアプリケーションにおいてますます注目されるべき技術です。

Figure 7: Restek Topaz cyclo double taper liner(サイクロダブルテーパーライナー Agilent GC用) (cat.# 23310)
 
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注入方法

ライナーのさまざまなスタイルと、それぞれのライナーが分析結果に与える影響についてはご理解いただけたでしょうか。次に注目すべきは注入方法です。ライナーと注入方法をどのように組み合わせるかは、クロマトグラフィーにおけるパフォーマンスを左右する重要な要素です。最適な組み合わせを選択することが、精密な分析を実現する鍵となります。

スプリット注入

スプリット注入は、サンプル中の分析対象化合物の濃度が比較的高い場合や、検出下限を特に低くする必要がない場合に適した注入方法です。この方法の特徴として、注入口での流速が速く、一部のキャリヤーガスとサンプルがGCカラムに導入され、残りがスプリットベントから排出される点が挙げられます。流速が速いことで、サンプルが注入口内にとどまる時間は短くなります。その結果、分析対象成分を効率的かつ再現性良く注入するためには、サンプルを迅速に気化させて混合する必要があります。

サンプルの気化と混合を最適化するためには、ウール入りTopaz Precisionスプリットライナー(Figure 8)の使用が推奨されます。このライナーは、不活性化されたガラスウールを内蔵しており、ウールの上下にガラスのくぼみをつけてウールをしっかり固定しています。ウールの配置が一定であることにより、再現性の高い結果が得られます。また、ウールがあるため表面積が増加し、サンプルの気化と混合がさらに効率よく進みます。その上、注入時にシリンジニードルがウールで拭われるため、再現性が高まり、結果に安定性をもたらします。Topaz Precisionスプリットライナーはウールを充填した状態で不活性化されるので、ライナーも非常に不活性な特性を持っています。この特性は、スプリット注入による多くのアプリケーションにおいて優れたパフォーマンスを発揮します。

Figure 8: Restek Topaz Precision liner with wool(ウール入りPrecisionライナー Agilent GC用)(cat.# 23305)
 
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スプリットレス注入

スプリットレス注入は、サンプル中の分析対象化合物の濃度が低い場合に特に有効な注入手法です。この注入方法では、最初にスプリットベントを閉じ、注入口を通過するすべてのキャリヤーガスがプログラムされた時間(「パージバルブタイム」または「スプリットレス時間」と呼ばれることもあります)、GCカラムに導入されます。その後、スプリットベントを開き、気化された溶媒をパージ(除去)します。適切なスプリットレス注入を行えば、濃度が低い分析対象化合物であってもその約99%がGCカラムに効率的に移送され、精度の高い分析結果を得ることができます。

低濃度成分の高精度な分析を実現するためには、まずウール入りTopazシングルテーパーライナー(Figure 9)の使用が推奨されます。ライナー底部のシングルテーパー設計は、分析対象成分と金属製注入口シールとの接触を最小限に抑え、サンプルをカラムヘッドに集中させる役割を果たします。これにより、分析精度が向上し、データの信頼性が高まります。また、ウールは注入されたサンプルを捕捉し、気化する場所をもたらす一方で、高価なGCカラムを汚染する不揮発性の「汚れ」もトラップします。Topazライナーに使用されているウールは充填した後に不活性化されるので、非常に不活性な特性を持っています。この特性によって、分析対象化合物がサンプル中に微量しか存在しない場合でも、精度良くサンプルを分析できます。したがって、スプリットレス注入アプリケーションにおける出発点として最適な選択肢となります。

Figure 9: Restek Topaz single taper liner with wool(ウール入りシングルテーパーライナー Agilent GC用) (cat.# 23303)
 
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ダイレクト注入

ダイレクト注入は、特に微量レベルでの分析が求められる場合に使用される技術で、サンプル中の分析対象化合物の損失を防ぐために極めて重要です。例えば、化合物が高温な注入口においてウールやライナー底部の金属製シールとの接触によって分解、吸着される可能性がある場合、この手法が選ばれます。ダイレクト注入では、サンプルは高温の注入口で気化され、その後、注入口ライナーを通じてGCカラムへ直接導入されます。

ここで注目すべきは、Topaz Uniliner注入口ライナーの革新的な設計です。Topaz Unilinerは、ライナー底部に「プレスフィット」コネクタを内蔵しており、このコネクタがGCカラムとライナーを密封します。この設計により、サンプルが注入口底部の金属製シールと接触することなく、精密な分析が可能になります。さらに、Topaz Uniliner注入口ライナーには、分析対象成分に応じて最適な形態を選択できる2つのバリエーションがあります。ライナー上部に小さなホールが開いているUniliner(Figure 10)は、分析対象物が溶媒ピークから十分に離れて溶出する場合に最適です。一方、ライナー底部(カラムシール側)にホールが開いているUniliner(Figure 11)は、分析対象物が半揮発性有機化合物である場合や、溶媒ピークのテーリングの影響を避けたい場合に推奨されます。Topaz Uniliner注入口ライナーを使用することで、サンプル分析の精度が大きく向上し、結果的に信頼性の高いデータを得ることができます。

Figure 10: Restek Topaz Uniliner inlet liner with hole near top(上部付近にホールがあるUniliner注入口ライナー Agilent GC用) (cat.# 23311)
 
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Figure 11: Restek Topaz Uniliner inlet liner with hole near bottom(底部付近にホールがあるUniliner注入口ライナー Agilent GC用) (cat.# 23306)
 
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サンプルループ注入による気体サンプル

気体サンプルの注入は、液体サンプルの注入とは根本的に異なります。液体サンプルの場合、注入口でサンプルを気化させてカラムに導入する必要があります。一方、気体サンプルの場合、注入口の役割はサンプルを効率よくカラムに移送することにあります。この点で、気体サンプルの注入には特別な配慮が必要です。

気体サンプルに最適な注入口ライナーは、サンプルがカラムに効率よく移送されることを重視し、可能な限り狭いサンプルバンドを維持する設計が求められます。そのため、注入口ライナーの内径(ID)は小さく、サンプルの拡散を最小限に抑える必要があります。この目的を達成するために、内径1.0 mmのTopazストレートライナーが推奨されます(Figure 12)。

Figure 12: Restek Topaz straight liner (1 mm)(ストレートライナー Agilent GC用) (cat.# 23333)
 
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昇温気化 (PTV) 注入

PTV注入では、サンプルが注入口に注入される際、注入口の温度は低温に設定されています。注入口はその後、プログラム昇温されます。この昇温過程により、溶媒がまず気化されて排出され、その後、分析対象となる化合物が次第に気化し、カラムに導入されます。

PTV用注入口を取り扱うメーカーはいくつかあり、各メーカーの注入口形状によりライナーは異なります。これらのライナーに共通する特徴は、ライナー内径が小さく、内表面にバッフルまたはディンプルが設けられている点です。このバッフルやディンプルは、ライナーの内表面積を増加させますがこれはサンプルを留まりやすくするだけではありません。注入口の温度が上昇するにつれて、注入口からサンプルへの熱が伝わりやすくもなります。その結果、サンプルは効率的に気化します。PTV用のライナーを選択する際には、どのメーカーの注入口が必要なのか確認し、少なくとも1つのバッフルまたはディンプルを備えた内径の小さいTopazライナーを選択することを推奨します。

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ライナーのメンテナンス

ガスクロマトグラフィー(GC)における注入口ライナーは、サンプル注入の際に重要な役割を担っており、その状態が分析結果に与える影響は小さくありません。特にサンプルがシステムに与える負担が大きい場合、ライナーの定期的な交換は不可欠です。以下のような問題に悩む前にライナー交換することを推奨します。

  • サンプル分解によるレスポンスの悪化
  • サンプル吸着によるピーク形状の悪化とレスポンスの低下
  • サンプルのディスクリミネーションにより、特定の分析対象成分(例えば高分子化合物)が損失している可能性がある
  • ピーク面積の再現性が悪い
  • コンタミネーションやセプタム粒子による不要なピークの発生や、サンプルとの望ましくない相互作用が疑われる

ライナーを均一な温度状態で効率よく使用するために、他の消耗品と同様に、ライナーも短いスパンで毎回使用前に熱平衡化を行うことが推奨されます。ライナー内の汚染物質や不純物を除去するのに、分析方法で数回のブランク注入を行う、またはシステムが許容する場合、注入口温度を標準設定温度より少し高めに設定する(例:+10 °C)ことが効果的です。

 

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Restek Topaz GC注入口ライナーの画期的な技術と不活性度によって、True Blue Performanceは次のレベルへ:

  • 不活性度—微量分析を正確かつ精度良くおこなうために、その分解性は極めて低く抑えられています
  • 再現性—様々な化合物において優れた信頼性が得られるよう、極めて厳しい製造管理とQCテストをおこなっています
  • 生産性—並外れた清浄度により、GC稼働時間とラボのスループットは最大限に発揮できます
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