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PFAS分析用のLC カラムには、どの固定相、サイズ、粒子径が最適か?

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パーフルオロおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)のサンプルを日常的に検査している多くのラボでは、これら「永遠の化学物質」の拡散や残留性、潜在的な健康リスクがより理解されるにつれて、認知度や関心が高まっていることはご存じでしょう。関心が高まるにつれて、迅速、正確、精度の良い検査の必要性が増しています。このような需要は、より良いメソッドの開発を促しており、LCカラムの選択は、改善されたアプローチを構築するための要です。これは、監視されるPFASのリストが、ますます短いアルキル鎖化合物を含むようになるにつれ、特に重要になります。ここでは、PFAS分析のためのLCカラムを選択する際に考慮すべき重要な特性を検討します。

カラム固定相とサイズの選択

どのPFAS LCカラムを使用するかを決定する際には、まずは有効な固定相を特定する必要があります。この特定には、どの範囲のPFASを対象とするかが重要です。

短鎖PFASかそれ以上の場合

短鎖PFAS(C4~C6)とそれ以上については、異なる固定相のスカウティングにより、C18が最適な選択であることが示されました。PFAS分子のアルキル鎖が長くなるにつれて、アルキル鎖と官能基であるC18との間の相互作用が増加し、保持および分離に対して良好なメカニズムをもたらします。比較的短くて細いカラムを使用して標的分析種を迅速かつ効果的に分離できるほどに、保持は強力です。図1の例は、50×2.1mmのRaptor C18カラムが、8分未満(トータル分析時間10分間)で、目的化合物を簡単に溶出および分離し、飲料水試験法EPA 537.1の基準を全てを満たしていることを示しています。

図 1:50 x 2.1 mm Raptor C18 column は、優れたPFAS LCカラムの選択肢であり、10分の迅速なトータルサイクルタイムでEPA537.1メソッド基準を全て満たします。

 

超短鎖PFAS

C8のPFASが禁止されると、より短いアルキル鎖を有する他の化合物が商業的に採用されました。関心のあるPFASリストが増えるにつれて、炭素数が4より短い鎖を有する化合物、または「超短鎖」(C2およびC3)がより注目を集めています。炭素鎖の長さが減少するにつれて、極性末端の影響が大きくなり、最終的には、主に疎水性相互作用に基づく保持メカニズムを有するC18カラムでの保持は減少します。

パーフルオロプロパン酸(PFPrA)およびパーフルオロプロパンスルホン酸(PFPrS)のようなC3のPFAS化合物においては、適切なカラムサイズが選択されれば、C18が依然として機能します。例えば、図2では、100×3 mmのRaptor C18が優れた性能を示しており、11分間の迅速な分析でC3のPFASを簡単に組み込めています。

図 2: Raptor C18固定相は短鎖PFASも効果的に分離しますが、適切な保持を確保するにはカラムサイズを大きくする必要があります。

 

C2のPFAS(例えば、トリフルオロ酢酸)が最終的に監視対象化合物のリストに含まれる場合は、PFAS分子の極性部分をターゲットとする別の固定相が必要です。C18カラムの主たる疎水性相互作用から、イオン交換およびHILIC分離モードの両方が可能な固定相を有するRaptor Polar Xカラムに切り替えることで、超短鎖PFASの保持が可能になります。 Raptor Polar Xカラムは、図3に示すように、超短鎖PFASに加えて、同じ分析で短鎖、長鎖、および代替PFAS化合物を保持および分離することもでき、最も包括的な一斉分析のPFASメソッドを提供します。

図 3: Raptor Polar Xカラムは、複数の保持モードを利用しており、単一メソッドで超短鎖、長鎖、および代替PFASを分析するのに最適です。

 

カラム粒子サイズおよび粒子タイプの選択

固定相とカラムサイズに加えて、粒子径および種類についての選択も必要です。最終的には、Raptorカラムに使われるているような2.7μmの表面多孔性粒子(SPP)が最も汎用性の高い選択です。このタイプの粒子で作製されたPFAS LCカラムは、超高圧になることなくサブ2μmの全多孔性粒子(FPP)に匹敵する効率的なクロマトグラフィーを生成します。これにより、ラボはUHPLCまたはHPLC機器のいずれでも迅速で効率的な分析をおこなうことができます。

ただし、粒子径と種類の選択は、機器の設定に応じてその効果が大きくなったり小さくなったりします。 例えば、従来のHPLC機器を使用し、5μmのFPPカラムを日頃使用している場合は、粒径に関係なく、SPPカラムがもたらす改善に驚かれるかもしれません。SPPカラムを使用すると、ほとんどのHPLC機器の圧力範囲で、クロマトグラフィー効率の向上とピーク形状の改善を簡単に確認できます。 同じ機器による高速分析は、UHPLC機器に設備投資することなくサンプルスループットを向上させることに関心のある多くのラボにとって、優れた組合せです。

すでにUHPLC機器を使用しているラボでは、特にSPPカラムにおける粒子径の選択が効率と分析時間に差をもたらすことはあまりないでしょう。図4は、UHPLCシステムを使用してPFAS分析をおこなった場合の、3種類のRaptor SPPカラムによる粒子径の影響を示したものです。一般的なクロマトグラフィー原理にあるように、ピークは1.8 μm粒子カラムで最も狭くなっていますが、5 μmカラムと1.8 μmカラムにおける効率の差は大きくはありませんでした。 しかし、このように非常に良く似た結果を達成する上で生成される背圧の差異は大きく、5および2.7μm粒子のカラムでは、圧力は従来のHPLC機器の範囲内です。 これらの粒子を充填したPFAS LCカラムを使用すると、超高圧にならずにUHPLC性能を得ることができます。

図 4: SPPカラムでは、異なる粒子サイズでも同様のクロマトグラフィー性能を得られますが、2.7または5 μmの粒子カラムを選択すると、背圧が従来のHPLCシステムの範囲内になります。(すべてのカラムは50 mm x 2.1 mmです。)

1.8 µm Raptor C18
6500–8000 psi

 

2.7 µm Raptor C18
4000–5500 psi

 

5 µm Raptor C18
2000–3500 psi

 

システム圧力をできるだけ低く保ちながら、最も効率を良くする(これは多くの場合分析時間の短縮につながります)には、SPP粒子のPFAS LCカラムが明らかに有利です。 しかし、多くのラボがFPPカラムを長年使用してきており、その使用を継続していくことが好まれる場合もあります。FPPカラムを使用しても、PFAS分析は問題なく実施できます。Force C18カラムのようなFPPカラムでは、表面積がより大きく、炭素含有量も高いことにより、類似の粒径のSPPカラム(Raptor C18)と比較して、クロマトグラフィー保持は強くなります(図5)。

図 5: FPPカラムが望ましい場合、Force C18カラムはPFAS分析に効果的な分離を提供します。(すべてのカラムは50 mm x 2.1 mmです。)

1.8 µm Raptor C18
6500–8000 psi

 

1.8 µm Force C18
7550–9250 psi

 

まとめ

PFAS LCカラムを選択する場合、2.7μmのRaptor SPPカラムは、優れた分離度、短い分析時間、およびUHPLCとHPLC機器の両方との適合性を実現します。固定相の選択は、モニター対象のPFASの範囲に依存しており、Raptor C18カラムは、C3までのPFASには、優れた選択肢です。しかし、超短鎖(C2~C3)PFAS以上の全範囲、ならびに代替PFASを含む最も包括的な一斉分析には、Raptor Polar Xカラムが最適です。

RaptorC18カラムを使用した微量分析では、PFASディレイカラムを取付けることによって、偽陽性または応答値の増大を軽減できることにご留意ください。PFASディレイカラムを使用することで、サンプル中のPFASと共溶出してしまう、システム由来のバックグラウンドPFAS汚染物質を排除します。

EVAR3069C-JP