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Reviveインラインサンプル前処理(ILSP): 食品中の多成分残留農薬分析の迅速なアプローチ

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    • 自動化されたサンプル抽出物のインラインクリーンアップは、前処理にかかる時間を大幅に短縮します。
    • 分析とILSPカートリッジ洗浄を同時におこなうことで、サンプル間のダウンタイムをなくします。
    • 食品の多成分残留農薬分析における、QuEChERSやSPEといった前処理の迅速かつシンプルな代替法です。
     

    インラインサンプル前処理(ILSP)は、性能を犠牲にすることなく、LC‐MS/MS分析でのサンプルあたりの時間と費用の削減を求めている食品安全ラボにとって理想的なサンプル前処理技術です。Revive ILSP農薬カートリッジは、従来のSPEおよびQuEChERSメソッドと同様に、干渉する可能性のあるマトリックス成分から分析種を分離します。さらにこの手法は、時間のかかる手動手順を、分析サンプル流路に沿ってシステム上でおこなわれる自動クリーンアッププロセスに置き換えます。Revive ILSP農薬カートリッジは、効果的な保持機構(例えば、逆相相互作用)と効率的な粒子設計を駆使しています。このため、サンプル分析と同時にシステム上でおこなうことができ、複雑なサンプルに対して強力で自動化されたクロマトグラフィークリーンアップをもたらします。

    インラインサンプル前処理の利点の例として、図1はホウレンソウ中の残留農薬分析におけるRevive ILSPと一般的なQuEChERSのワークフローを比較しています。ISLPアプローチによりサンプルの移し替えが少なくて済み、1.5時間の時間短縮を実現し、サンプル前処理の生産性が大幅に向上しました。ILSPはまた、手動の手順で起こりうるエラーのリスクを最小限にし、QuEChERSと比較して同等または優れた分析結果を提供します。この比較の網羅的な研究は、Lupoらによって発表されています[1]。

    図 1: Reviveインラインサンプル前処理は、ホウレンソウサンプル14個を、従来のQuEChERSワークフローよりも1.5時間速く処理できます。 

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    Reviveインラインサンプル前処理のしくみ

    図2に示すように、Revive ILSPは、サンプルクリーンアップカートリッジをLCの注入流路に直接組み込んでいます。分析種が分析カラムに到達すると、ILSPクリーンアップカートリッジは、その後、バックフラッシュまたは「再生」され、最初のサンプルを分析中に次の注入に備えます。6ポートバルブと標準タイプの独立したイソクラティックポンプを使用することで、再生と分析を同時におこなうことができます。システム構成、メソッドパラメータの設定(例えば、バルブ切り替えのタイミングや洗浄溶媒流量)、および効果的な洗浄溶媒の特定に関するガイダンスは、RestekのILSPメソッド開発ガイドラインに記載されています。特に大量のサンプルを処理するラボやサンプル前処理のリソースが限られているラボにとって、ポンプやメソッドセットアップに費やす時間といった投資は、日々の運用コストの低減でまかなえるのではないでしょうか。

    図 2: インラインサンプル前処理のしくみ

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    高い耐久性とその間の一貫した結果が示す費用対効果

    アボカド抽出液の300回注入による耐久性実験は、時間の短縮に加え、ILSPがもたらす一貫した結果と大幅なコスト削減の優れた例を提供します。脂質の多いアボガドに、化学的特性および保持時間が異なる61種類の代表的な混合農薬を添加しました。次いで、図3に示す最適化されたワークフローを用いてサンプルを抽出および分析しました。インラインサンプル前処理法は、同等のQuEChERSアボカドワークフローよりも大幅に迅速で、Revive ILSP農薬カートリッジ1個で、実験期間にわたって効果的なクリーンアップと一貫したクロマトグラフィー結果を提供しました。

    図 3: 脂質含有量の高いアボカドサンプルにおけるインラインサンプル前処理のワークフロー例

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    図4でとりあげている3つの農薬は、分析種リスト全体のうち溶出が早い、中程度のそして遅い化合物です。数百回のマトリックス注入の間での一貫した保持時間、ピーク形状、およびレスポンスは、Revive ILSP 農薬カートリッジによるクリーンアップの頑健性を実証します。同じ抽出液をn=3で注入して評価したところ、モニターした61種類の農薬のうち、95%は、EUリファレンスラボラトリーズのSANTE/12682/2019ガイドラインによって確立された性能ガイドライン(回収率70~120%、%RSD≦20%)を満たしました[2]。

    スピードの向上と堅牢な性能に加えて、ILSPは大幅なコスト削減も提供します。例えば、QuEChERSサンプル(抽出塩パケットとdSPEチューブ)では、1サンプル当たり4ドルと仮定すると、300のアボカドサンプルの場合、QuEChERS製品のみで1200ドルの費用がかかることになります。Reviveインラインサンプル前処理ワークフローは、抽出塩またはdSPEを使わずに簡単な固液抽出を使用して、その費用を低減します。Revive ILSP 農薬カートリッジ1個は、QuEChERSの総価格の約1/4の費用です。300のアボカドサンプルを効果的にクリーンアップし、その性能は300回注入後でも低下しなかったため、実験が終了した際にカートリッジを交換する必要はありませんでした。

    図 4: 1つのRevive ILSPカートリッジに300回アボカドマトリックスを注入した後でもクロマトグラフィーは安定しています。 

     

    Revive ILSP分析例: 性質の異なる食品における多成分残留農薬分析

    食品中の農薬分析は、分析物の化学的性質およびマトリックスの種類(脂質が多い、糖質が多い、色素が多い、水分が少ないなど)が幅広いため、特に困難です。これに対処するために、さまざまなQuEChERS製品が用意されており、異なる状況においても効果的な抽出とクリーンナップを確実なものとしています。しかし、1つのRevive ILSP 農薬カートリッジは、同じ広範囲の分析種およびマトリックスにわたって優れた結果を提供することができます。 

    この広範な適用性を示すために、SANTE/12682/2019ガイドラインの5つの食品グループにまたがる6つの食品に対し、開発されたインラインサンプル前処理方法を使用して回収率実験をおこないました(表I)。ここで使用した食品には、一般的な多成分残留農薬スクリーニングメソッドのクロマトグラムにおいて、異なる時間(早期、中期、後期)に溶出するさまざまな化学的性質を有する61の農薬を添加しました(表II)。 

    表 I: Revive ILSPメソッド開発に使用した食品

    食品グループ

    食品サンプル

    水分含量が高く色素が豊富

    ホウレンソウ

    酸含量と水分含量が豊富

    オレンジ(全体)

    脂質含量が高く、水分含量が非常に低い

    大豆ミール

    脂質含量が高く、水分含量は中程度

    アボカド

    "難しいもしくはユニークな食品" ハイビスカスティー
    紅茶
    表 II: 一般的な多成分残留農薬スクリーニングメソッドで化学的特性と溶出時間(早い、中程度、遅い)の両方が異なる61種類の農薬を使用して、Revive ILSPの回収率試験を実施しました。
    モニター農薬リスト

    Cyromazine

    Flutolanil

    Benzoximate

    Dinotefuran

    Mepronil

    Trifloxystrobin

    Nitenpyram

    Myclobutanil

    Metaflumizone

    Imidacloprid

    Methoxyfenozide

    Fluazinam

    Acetamiprid

    Triadimefon

    Tebufenpyrad

    Oxadixyl

    Mepanipyrim

    Pyriproxyfen

    Carbetamide

    Fluoxastrobin

    Piperonyl Butoxide

    Pyracarbolid

    Fenhexamid

    Quinoxyfen

    Secbumeton

    Butafenacil

    Amitraz

    Prometon

    Cyprodinil

    Fenpyroximate

    Terbumeton

    Picoxystrobin

    Eprinomectin

    Ametryn

    Rotenone

    Abamectin B1a

    Metalaxyl

    Tebufenozide

    Fenazaquin

    Chlorantraniliprole

    Dimoxystrobin

    Doramectin

    Pyrimethanil

    Carfentrazone-ethyl +NH4

    Ivermectin

    Spiroxamine

    Kresoxym-methyl

    Moxidectin

    Azoxystrobin

    Zoxamide

    Imazalil

    Halofenozide

    Famoxadone

    Pymetrozine

    Furalaxyl

    Benalaxyl

    Fludioxinol

    Boscalid

    Clofentezine

     

    Mandipropamid

    Prochloraz

     

    ILSP サンプル抽出

    Revive ILSPのワークフローにおける抽出、つまりサンプルのホモジナイズ後の固液抽出は、調査した全ての食品で良好に機能しました。正確な抽出パラメータ(溶媒、容量、振とう時間、ろ過など)は食品ごとに最適化しましたが、全体的な手順はシンプルかつ迅速で効果的でした。ホモジナイズ、溶媒添加、撹はん、そして必要に応じてサンプルろ過をおこないました。さらに、QuEChERS法で一般的な分散型クリーンアップ工程がないため、インラインサンプル前処理メソッドは、クリーンアップ中の分析種のロスを最小限に抑えます。

    さまざまな食品グループにおけるILSPの回収率

    調査した農薬のほぼ全てを6つの異なるマトリックスから回収し、その回収率は低~中程度の感度を有するLC-MS/MSを使用したSANTE/12682/2019による性能ガイドラインの範囲内でした(表III)。これらの結果は、食品や飼料中の多成分残留農薬モニタリングにおけるReviveインラインサンプル前処理の幅広い適用性を示しています。

    さらに、Revive ILSPを類似のQuEChERS法と比較した場合、ILSPは、全ての場合において、優れてるとは言えないまでも、同等のパフォーマンスを示しました。また、化合物が理想的な70~120%の回収率範囲を外れた場合、ILSPの自動化された再現性のあるクリーンアップの場合のように、結果が一貫していれば、SANTE/12682/2019のようなガイドラインは、そのデータを報告するための規定を提供しています。 

    表 III: 6つの異なる食品用に開発したRevive ILSPメソッドによる全体的な回収率性能

    食品

     回収率70-120%、 RSD(濃度)が20%以下の化合物の割合

    ホウレンソウ

    85.7% (5 ng/g); 95.2% (100 ng/g)

    オレンジ(全体)

    87% (10 ng/g)

    大豆ミール

    97% (10 ng/g)

    アボカド

    95% (10 ng/g)

    ハイビスカスティー

    92% (10 ng/g)

    紅茶

    98% (10 ng/g)

    マトリックス効果とILSP

    実際のサンプルはどのような分析においても、一部のマトリックスは目的化合物と共に抽出される可能性があります。この点に関して、ILSPは他のサンプル前処理技術と変わらず、マトリックスマッチ検量線用標準液を使用することが、正確な定量を保証するための最良の方法です。これは、分析の早い段階で溶出する化合物で特に当てはまります。保持されないマトリックス成分が最も現れやすい位置であり、エンハンスメントあるいはサプレッションを引き起こす可能性があります。

    定量に影響を与えるだけでなく、マトリックス成分が機器を汚染する可能性があります。インラインサンプル前処理法では、未精製の抽出液を注入します。サンプル間のキャリーオーバーを回避し、取除くのに機器を止めることが必要となるような汚染の蓄積を防ぐため、注入毎にニードル内およびニードル外の洗浄を確実におこなうことが重要です。 

    Reviveインラインサンプル前処理: 食品中の多成分残留農薬分析

    インラインサンプル前処理は、LC-MS/MSの能力を使用して、サンプル抽出物クリーンアップを効率化し、自動化します。Revive ILSP 農薬カートリッジ、6ポートバルブ、および独立したイソクラティックポンプを使用すると、サンプルのクリーンアップと分離検出を一つの効率的な方法に組合わせ、機器を分析の主力へと変えることができます。Revive ILSPを現在の食品中の多成分残留農薬分析メソッドに統合することにより、サンプル前処理時間を短縮し、使い捨てサンプル前処理製品にまつわるコストを削減し、手動手順に関連したエラーを低減できます。

    参考文献
    1. A. Lupo, R.L. Romesberg, X. Lu, Automated inline pigment removal for the analysis of pesticide residues in spinach by liquid chromatography tandem mass spectrometry, J. Chromatogr. A 1629 (2020) 461477. https://doi.org/10.1016/j.chroma.2020.461477
    2. EU Reference Laboratories for Residues of Pesticides, SANTE/2019/12682, Analytical quality control and method validation procedures for pesticide residues analysis in food and feed (2020). https://www.eurl-pesticides.eu/userfiles/file/EurlALL/AqcGuidance_SANTE_2019_12682.pdf
FSSS3549-JP