Pro EZLC Chromatogram Modeler ヘルプ
目次
この記事では、Pro EZLC Chromatogram Modelerのインターフェイスと入力項目について解説します。使用方法の詳細については、技術記事および紹介動画もぜひご参照ください。
Pro EZLCとは?
Pro EZLC Chromatogram Modeler は、液体クロマトグラフィー(LC)に特化してモデルクロマトグラムを作成できる先進的なツールです。この無料のオンラインシミュレータを使えば、対象の成分を化合物クラスから選択するだけで、カラムや分離条件の情報を即座に入手できるだけでなく、分析条件の最適化を行うこともできます。EZLC ModelerはRestekの技術者によって既に生成された堅牢なアルゴリズムと実験データに基づいて作成されたシミュレーションツールのため、ユーザーが追加で実験データを入力する必要はありません。
Pro EZLCのインターフェイス
化合物(Compounds)タブ
Pro EZLC Modeler での作業は、 化合物タブから開始します。ユーザーはモデル化する化合物と固定相を選択しますが、選択したモデルによって選べる化合物が異なるので注意してください。また、作業セッションを終了したり、保存したモデルクロマトグラムをロードしたり、またはWeb画面自体をリロードしたりすると、選択した化合物リストはクリアされるので注意してください。
選択した化合物のいずれかが同重体である場合、Modelerによって自動的に分離のためのフラグが立てられます。また、モデルクロマトグラムが作成されると、 モデルビューエリアに表示されます。この分離をさらに最適化する場合は、分析条件(Condition)タブから行うことができます。
では、実際のフローを詳しく説明していきましょう。まず化合物クラス(Compound Class)のドロップダウンメニューから化合物クラスを選択します。すると、その化合物クラスに登録されたすべての化合物のリストが表示されます。
化合物を選択するには、リスト内でその化合物をクリックし、エントリーします。なお、エントリーされた化合物を再クリックすると選択が解除されます。
モデル化する化合物を選択するには、その化合物の行をクリックします。
検索(Search)フィールドを使用すると、化合物名またはCAS番号でリストをすばやくフィルタリングできます。化合物名の一般的な同義語でも検索できます。 化合物の行をクリックして、化合物を選択してモデル作成対象成分として追加します。検索フィールドの「X」をクリックすると、フィルタリングが解除され、元のリストに戻ります。 この方法でフィルタリングを解除しても、既存の選択項目が削除されることはありません。
検索フィールドで、化合物の名前またはCAS番号で検索します。
ライブラリ内の化合物は、一般的な同義語で検索することができます。
行内に青いチェックボックスがある化合物は、選択リスト内の別の化合物の同重体であることを示しています。Modelerは、選択された同重体の分離が可能となるよう、モデルクロマトグラムを作成します。検出器設定がMSの場合、同重体はあらかじめ選択されますが、検出器設定がUVの場合、同重体は分離対象として事前選択されません。そのため、同重体の分離が必要な場合は、分離対象とする同重体のチェックボックスを手動でオンにするか、「すべて指定(Target All)」を選択します。
検出器設定がMSの場合、同重体化合物は自動的に分離対象となります。
特定の同重体化合物の分離が不要な場合は、その化合物の青いチェックボックスをクリックして分離対象から外します(化合物自体の選択が解除されない限り、同重体はモデルクロマトグラムビューに表示されます)。
チェックボックスをクリックして、化合物のシミュレーション対象・対象外を切り替えます。
分離対象の化合物を変更すると、分析時間が大きく異なることがあり、また、対象化合物の分離を得るために他の化合物の分離が犠牲になる場合があるため注意が必要です。このため、(検出器設定がMSの場合)分離すべきすべての同重体化合物を必ず分離対象にしてください。
化合物の選択をすべて解除するには、化合物リストの下にある■成分選択(Compounds Selected)の右側にあるクリア(Clear)をクリックするか、化合物クラスドロップダウンメニューから新しい化合物クラスを選択します。同重体の分離対象化合物をすべて解除するには、化合物リストの下にある■の同重体を分離(Isobars To Resolve)の右側にあるクリア(Clear)をクリックすることですべて解除できます。
目的の化合物を選択したら、固定相(Phase)ドロップダウンメニューからカラムを選択します。選択したライブラリによりますが、デフォルトの検出器(Detector)はMSまたはUVのいずれかとなります。(MSであれば、分子量やプレカーサイオンを基にして同重体化合物を主な分離対象[Rs]とします。一方UVではすべての化合物の分離 [Rs]に焦点を当てますが、選択した同重体を分離対象 [Rs]とすることも可能です。)次に、モデル生成(Generate Model)ボタンをクリックして、選択した化合物のモデリングに進みます。
なお、モデル化された結果(モデルクロマトグラム)は、アプリのモデルビューエリアに表示されます。
モデルビュー
モデルクロマトグラムはインターフェイスの右パネルに表示されます。ビューは、My EZLCの横にある<<矢印を使えば拡張(タブを非表示)して表示することもできます。タブを再度表示するには、インターフェイスの左上隅にある>>矢印をクリックします。
拡大されたビューは、モデルクロマトグラムを印刷するのに適しています。
クロマトグラムを拡大するには、マウスで該当領域をクリック&ドラックします(タブレットは、指でタップ&ドラッグ)。さらに拡大する場合にも同様の操作が使用できます。拡大を解除するには、クロマトグラムをダブルクリック(ダブルタップ)します。
ある領域をクリック&ドラッグすると、その領域がズームされます。
ピーク番号(デスクトップブラウザ版のみ)にカーソルを合わせると、保持時間(tR)、分離度(最も近いピークへの分離度、RS)、溶出%Bが表示されます。共溶出ピークの場合は、すべての共溶出化合物に対してこれらの値が表示されます。
また、同重体化合物を含む分離では、モデルクロマトグラムの下にある選択可能な同重体(Available Isobars)メニューを使用すると、同重体の分離の確認が容易になります。各同重体のCritical Pair(下記注参照)は、分離度の低いものから順に表示されます。Rs=1.5(ベースライン分離)以上の分離度を持つ同重体のCritical Pairは、緑色のトレースとして表示されます。同重体のCritical Pair間の分離度がRs = 1.5を下回ると、トレースは共溶出の度合いに応じてオレンジまたは赤で表示されます。
選択可能な同重体で選択すると、同重体の分離の確認が容易にできます。
注意: 上図の色付きのトレースのように、3つ以上の同重体化合物が存在する場合、最も近接して溶出する2つの化合物のみが選択可能な同重体のドロップダウンリストに表示されます。この2つの化合物は、同じm/zイオンを共有する「critical pair」として定義されます。
ピークリストには、保持時間(tR、分)、分離度(最も近いピークへの分離度Rs)、ピーク幅(分)、Exit %B、ESIイオン化モード、Precursor イオンと定量Productイオン(m/z)が表示されます。選択可能な同重体リストから選択した同重体は、ピークリストでハイライトされます。
分析条件(Conditions)タブ
Modelerが初期結果を表示したら、分析条件タブでモデルの条件をさらに調整することができます。EZLC Chromatogram Modelerを使用する上での重要なポイントは、Modelerが慎重な結果を提供するように設計されており、分離が十分でない結果が示される可能性があるということです。つまり、分析条件タブで分離を最適化した後でも、モデル内に共溶出する成分が残ることがあります。しかし、実際のラボでモデルクロマトグラムの条件を再現してみると、分離が可能な場合もあります。さらに、追加の変数(例えば、移動相添加剤など)を検討することも、分離を改善するための有効な手段です。ラボで未分離の同重体を分離する方法については、技術記事をご覧ください。
分析条件タブでは、Critical Pair分離を維持しながら、初期条件を最適化するために以下の変更を行うことができます:
- カラムサイズの変更
- ユーザーが使用している装置/システムに固有のDwell Volumeとカラム外容量(Extra-Column Volume)の調整
- 移動相(Mobile Phase)およびカラム温度の変更
- 特定のライブラリでは移動相添加剤濃度の変更が可能(例えば、カンナビノイドライブラリの「溶媒 A」の緩衝液濃度(mM))
- マルチステップのグラジエントプログラムの作成
最適化のために分析条件を変更する毎にクロマトグラムとピークテーブルが更新されるため、ユーザーは各変更が全体的な分離にどのように影響するかを確認できます。
分析条件(Conditions)タブでモデルの条件を変更します。
カラム(Column)
長さ(Length)
LCカラムの長さをミリメートル(mm)単位で示しています。
内径(Inner Diameter)
LCカラムの内径(ID)をミリメートル(mm)で示しています。
粒子径(Particle Size)
LCカラムの粒子径をマイクロメートル(μm)で示しています。
選択可能なカラムサイズ(Available Columns)
カラムサイズを選択するには、選択可能なカラムサイズリストから代替カラムを選択します。すべてのカラムサイズがリストに表示されるわけではないことに注意してください。分析に最適なカラムのみのキュレーションリストが各化合物ライブラリに表示されます。
ボリューム効果(Volume Effects)
装置におけるDwell Volumeとカラム外容量(Extra-Column Volume)を入力すると、その装置に適したモデルが表示されます。
Dwell Volume
移動相グラジエントの変化は即座にカラムに到達するわけではありません。なぜならば、新しい組成がシステム内を移動してカラムに到達するには時間が必要だからです。この変化に必要なシステム容量は装置の「dwell volume」と呼ばれ、溶媒が混合されるポイントからカラムヘッドまでの流路の長さと内径に含まれる容量として定義されます。装置のdwell volumeはグラジエントメソッドの保持時間に影響し、早期溶出化合物の選択性にも影響することがあるため、dwell volumeを考慮することはメソッド開発を成功させるために非常に重要です。通常、装置のdwell volumeは、ミキサーまたはグラジエントプロポーショニングバルブ(4元系ポンプの場合)のいずれかをスタート地点とし、ミキサーから注入バルブまでのチューブ、サンプルループ、注入バルブからカラムまでのチューブが含まれます。チューブをカスタマイズした場合、チューブの長さと内径から容量を簡単に計算できるオンライン計算機が多数あります。以下はその一つです。
https://www.omnicalculator.com/construction/pipe-volume
装置のdwell volumeを調べるには、装置のマニュアルを参照するか、装置メーカーにお問い合わせください。装置固有のdwell volume値が入手できない場合は、ソフトウェアが適用するデフォルト値を用いることで保守的なモデル結果が得られます。保持時間の予測は影響を受ける可能性はありますが、それでも実際に観察される保持時間は近似値を示すはずです。
カラム外容量効果(Extra Column Volume Effect)
The following physical components of the LC instrument contribute to Extra Column Volume (ECV): needle seat; injection volume; injection valve; precolumn tubing; preheater; post-column tubing; and, in the case of flow cell-based detectors, even detector volume. ECV contributes to band broadening, or the increased width of the observed peaks, which, in turn, affects peak resolution. LC装置の以下の物理的な構成要素によって、カラム外容量(Extra-Column Volume: ECV)は決まります。ニードルシート、注入量、注入バルブ、プレカラムチューブ、プレヒーター、ポストカラムチューブがECVに影響します。フローセルベースの検出器の場合は検出器ボリュームもECVを決める構成要素となります。ECVによってバンド幅が拡大、すなわち観測されるピークの幅が拡大し、結果的にピーク分離度に影響を与えます。(訳を修正しました)このピーク幅の拡大は「カラム外容量効果」または 「カラム外拡散」と呼ばれます。ECV効果は、カラム以外の装置の流路部分(カラムを除いた注入部から検出器までの部分)において、分析成分のバンドが広がってしまう部分、つまりカラム以外の追加体積を表しているため、通常、体積単位で報告されます。ECV効果を正確に把握することで、Pro EZLC Chromatogram Modelerはモデル作成をする際に、Critical Pairの分離をより正確に計算できるようになります。各LC装置にはそれぞれ固有のECV値があるため、装置に付属しているマニュアルにその値が記載されていない場合は、メーカーにお問い合わせください。
装置がメーカー出荷時の構成から変更されている場合、Pro EZLC Method Translator を使用してECVを算出することも可能です。カラムサイズは異なりますが、固定相と粒子タイプ(SPPまたはFPP)が同じカラムを2本用意し、2成分以上の混合サンプルのイソクラティック分析を実機にて行います。それにより得られた結果(分離度、化合物の保持時間等)をMethod Translatorに入力し、計算された分離度の値が観察値と同等になるカラム外容量(ECV)を確認します。ECVの標準的な値は2~50 µLです。ECV効果を適切に決定しても、多くの要因(非ガウス分布ピーク形状、溶出%Bのわずかなシフト、カラム上の質量のスケーリングエラーなど)により、分離度の計算値に偏りが生じる場合がありますが、計算された分離度は、観測された分離度の±25%以内となるはずです。装置固有のECVが分からない、または確認できない場合、Modelerのデフォルト値を用いるとことで、得られる結果は保守的になります。つまり、モデルクロマトグラムと予測される保持時間は依然として高い相関を示しますが、予測されるCritical Pairの分離度の値は、装置固有の値を使用した場合ほど正確にはならない可能性があります。
PFASディレイカラムの tR と圧力への影響
tR への影響: 移動相ミキサーとインジェクタの間にPFASディレイカラムを正しく設置することで、システム由来の干渉成分の溶出を遅延させ、サンプル中PFASの正確な測定を可能にします。分析対象成分の保持時間(tR)に対するディレイカラムの影響は、分析条件タブのボリューム効果(Volume Effect)フィールドのDwell Volumeパラメータを変更することでシミュレーションできます。例えば、50 mm x 2.1 mm のディレイカラムを使用した場合の影響は、Dwell Volumeパラメータを約0.09 mL 増やすことで補正できます(以下の計算を参照)。
- カラム容量: V = πr2L
- V = π (1.05 mm)2 × 50 mm ≈ 170 mm3
- 170 mm3 × (0.001 mL / 1 mm3) ≈ 0.17 mL × ~0.5* ≈ 0.09 mL
デフォルトのDwell Volume 0.25 mLを使用する場合は、値を0.34 mLに変更してください。
*充填カラムの空隙率を50%と想定
50 mm x 2.1 mm ディレイカラムの場合、溶出が早い化合物では約6秒、溶出が遅い化合物では約12秒の保持時間(tR)の増加が予想されます。
圧力への影響: ディレイカラムを使用すると、装置のシステム圧が上昇します。しかし、Modelerで Dwell Volume (tR の影響をシミュレートするため)を増やしたとしても、システム圧の上昇を計算に反映することはできません。そのため、システム圧がどの程度上昇するかについては、以下の例を参考に別途考慮する必要があります:
- 5 µm (50 x 2.1 ディレイカラム): 約1500–2000 psi の増加
- 3 µm (50 x 2.1 ディレイカラム): 約2000–3000 psi の増加
- 2 µm (50 x 2.1 ディレイカラム): 約3500–4000 psi の増加
移動相(Mobile Phase)
溶媒A(Eluent A), 溶媒B(Eluent B)
Pro EZLCライブラリは、Restekの化学者によって化合物クラスに最も適した移動相、添加剤、および緩衝液を使用して作成されています。ライブラリによって、異なる溶媒、添加剤、または緩衝液が利用可能な場合があり、その場合はドロップダウンリストで選択可能です。例えば、Drugs of Abuse(乱用薬物)ライブラリでは、溶媒Bとしてメタノールまたはアセトニトリルのいずれかを選択できます。
溶媒の選択がLC分離に与える影響について、詳しくは技術記事をご覧ください。https://www.restek.com/articles/effect-of-organic-solvent-on-selectivity-in-lc-separations(日本語記事は準備中です)
温度(Temperature)
許容される温度範囲は、使用するライブラリによって異なります。例えば、Drugs of Abuseライブラリの場合、許容温度範囲は30℃~60℃です。
背圧(Back Pressure)
Modelerが計算する背圧は、流量と選択したカラムパラメータに基づいて推定されます。ドロップダウンメニューから圧力単位を選択します。 psi, kPa, bar, atmから選択できます。選択した圧力単位は、検索中やModeler使用中は維持されます。
カラムID別実用流量範囲
- 内径2.1 mm カラム: 0.4–0.6 mL/min
- 内径3.0 mm カラム: 0.7–1.0 mL/min
- 内径4.6 mm カラム: 1.4–1.6 mL/min
システムの一般的な圧力制限
- UHPLC: 15,000 psi (~1000 bar)
- 準UHPLC: 8700 psi (~600 bar)
- HPLC: 5800 psi (~400 bar)
グラジエント条件(Gradient Program)
グラジエント条件は、このセクションで変更、追加、削除できます。グラジエントを追加するには、グラジエントステップ数(# of Gradient Steps)フィールドの値を1〜3の値に変更します。Modelerは、元のグラジエント条件を維持する値を割り当てながら、新しいステップを自動的に挿入します。その後、ステップを調整してグラジエント条件を変更することができます。
グラジエントステップに加えて、グラジエントの開始点と終了点にホールド条件を追加することもできます。最後に再平衡の条件を追加して、次の分析のためにシステムの再平衡化を行うこともできます。
ほとんどの場合、1~3ステップの単純なグラジエントを使用して、許容できる分離度を得ることができます。しかし、より多くのステップを持つ複雑なグラジエントが必要な場合は、ホールドと再平衡化フィールドを使用して、最大6ステップのグラジエントに相当する分離条件を作成することができます。ホールド、グラジエントステップ、および再平衡化をすべて含めて、プログラム・ステップの最大数は6であることに注意してください。
初期条件のホールドを追加(Add Start Isocratic Hold)
最初の初期条件のホールドは、初期条件のホールドを追加ボックスを選択すると、グラジエント条件に追加されます。プログラムは自動的に1分間のホールドを追加しますが、その後条件の調整が可能です。
最終条件のホールドを追加(Add Final Isocratic Hold)
分析の最後に最終条件のホールドを追加するには、最終条件のホールドを追加を選択します。これにより、自動的に1分間のホールドが追加されますが、その後条件の調整が可能です。
メソッドによっては、すべての化合物がカラムから溶出するために最終条件のホールドが必要となることがあります。その場合、Modelerは自動的に最終条件のホールドを追加し、最終条件のホールドには(追加しました)必要な最小値が設定されます。 |
再平衡化時間を追加(Add Re-Equilibration Time)
再平衡化時間を追加(Add Re-Equilibration Time) ボックスは、グラジエントを最初の%B値に戻すステップを追加します。デフォルトのカラム洗浄回数は10倍量となっており、条件で設定された流速に基づいて、カラム内容量の10倍で洗浄するのに必要な時間が設定されます。 倍量カラム内容積で洗浄(カラム洗浄回数、から実際の記載に変更しました)(# of Column Rinses)フィールドを調整すると、この再平衡化ステップに必要な時間が自動的に調整されます。
ソフトウェアが許容するカラム洗浄の最小回数は決まっています。カラム内容量に加え、システムを完全に元の移動相組成に戻すために必要なカラム外容量も考慮されます。 |
グラジエントの最適化(Optimize Gradient Slope)
グラジエントの最適化ボタンは、特定の化合物についてモデルのグラジエントプログラムを簡単に調整するための機能です。このボタンを使うと、さまざまな%B条件を検討し、前回の分析時間と分離された化合物数を満たすか、より良いモデルを提供します。 さらに改良が可能な場合は、ボタンの横に円形の矢印が表示されます。これ以上の改良が不可能な場合、ボタンは無効になります。変更は、結果セクションの元に戻す(Undo)ボタン(またはCtrl-Zキー)で取り消すことができます。Note: optimization of %B gradients that are very slight (e.g.,1%) may produce results with a larger gradient.注:とてもわずかな(例えば1%の)%Bグラジエントの最適化でも、結果として大きな変化をもたらす可能性があります。(海老原さん、千葉さんこの訳でOKでしょうか?)
ターゲット分離度(Target Resolution)
ターゲット分離度フィールドのデフォルトはベースライン分離が可能な1.5となっています。ベースライン分離より低い分離度が許容できる場合は、ここで変更できます。ターゲット分離度の最小値がラボの分析要件または品質要件に適合していることを常に確認してください。
この値を上げると分析時間が長くなり、下げると分析時間が短くなることがあります(大幅に短くなることもあります)。
警告!グラジエント条件を最適化する際、Pro EZLC Modelerは(追加しました)全体の分析時間をできる限り短縮するようにプログラムされています。その結果、既に分離された化合物を維持しながら分析時間を改善するために、ターゲット分離度を満たしていない化合物が犠牲になることがあります。最適化後にすべての対象化合物がターゲット分離度に達しなかった場合は、初期のグラジエント条件に戻し、ターゲット分離度を下げて再試行してください。特定の化合物の分離度を維持したい場合は、それらの化合物の分離度に合わせたターゲット分離度に設定してから最適化を行ってください。 |
上記のピーク160と165の分離度を維持するには、最適化の前にターゲット分離度を0.60に変更します。
イソクラティック条件(Isocratic Program)
特定のライブラリ(例:カンナビノイド)では、イソクラティック条件のオプションが利用可能です。 この場合もグラジエント条件セクションでパラメータ調整を行いますが、イソクラティック条件で変更可能なパラメータは、流量と%Bのみとなり、それぞれ設定可能な範囲内でのみ変更が可能です。 総分析時間は、最後に溶出する化合物のRtをベースに、システム容量の残量分として約1分が追加されます。
結果(Results)
分析条件タブで行った変更を元に戻すには、結果セクションの元に戻す(Undo)ボタンをクリックするか、キーボードのCtrl-Zを押します。変更をやり直すには、やり直し(Redo)ボタンを押すか、キーボードの Ctrl-Y を押します。
化合物タブで「モデル生成」を再実行すると、分析条件タブがリセットされ、すべての変更内容がクリアされます。 |
Gradient Time + Delay/Run Time
「Gradient Time + Delay」は、プログラムされたグラジエントがカラム末端に到達するのに必要な合計時間です。カラム容量、カラム外容量、および流量が考慮されます。一般的に、「Gradient Time + Delay」はModelerが提供した移動相プログラムの時間よりも長くなります。これは、移動相プログラムの時間に加え、カラム全体に移動相の最終条件が到達するまでの時間が追加されるためです。特定の化合物の溶出時の移動相組成を確認するには、提供されているピークリストテーブルを参照してください。「Exit %B」列には、その化合物が溶出した時点のカラム内の実際の移動相条件が表示されます。
「Run Time」 は、「Gradient Time + Delay」に、ホールド時間やカラム洗浄など、移動相プログラムに追加されたすべてのステップの時間が加算されます。上記の理由により、実際のグラジエント条件に表示される時間と正確に一致しない場合がありますのでご注意ください。
ボイドタイム (T0)
ボイドタイム(T0)は、保持されない化合物がインジェクタからカラムを経て検出器まで移動するのにかかる時間です。
分離した(実際の記載と合わせました)同重体化合物(Isobaric Compounds Separated)
分離した同重体化合物の値は、対象化合物のうち、ターゲット分離度を達成した化合物の数を示します(詳細についてはグラジエントの最適化のターゲット分離度を参照ください)。この値は実際の分離された化合物の総数ではなく、同重体化合物の数です。
Critical Pair
分析全体の中で最も分離度の低い同重体化合物のピーク番号を示します。
Critical Pairの分離度(Critical Pair Resolution)
分析全体で最も分離度の低い同重体化合物の分離度を示します。
化合物の構造と物性(実際の記載と合わせました)ビュー
特定の化合物の詳細情報を表示するには、モデルビュー内のピークリストの化合物名の横にある虫眼鏡をクリックします。表示されるポップアップには、化合物の詳細が表示されます。
My EZLCタブ
My EZLCタブには保存されたモデルが表示されます。
モデルの保存
モデルを保存するには、次のようにします:
- モデル化された結果の一番上にある無題 クリックして編集(Untitled. Click here to edit.)をクリックしてタイトルを付けます。タイトルのテキストボックスフィールドが表示されます。タイトルを入力し、OKをクリックするかキーボードのEnterキーを押して、新しいタイトルを固定します。
- Pro EZLC Chromatogram Modelerの上部バーにある保存(Save)ボタンをクリックします。
無題での保存も可能ですが、お勧めしません。モデルをロードした後や何度もアクセスした後であっても、タイトルを追加し、モデルを再保存することは可能です。 |
モデルのバリエーションを保存するには、分析条件タブで変更を加え、必要に応じてモデルのタイトルを変更し、名前をつけて保存(Save A Copy)ボタンをクリックします。保存されたモデルのMy EZLCリストに新しいエントリーが表示されます。モデルを比較するには、My EZLCリストのエントリーをクリックします。
My EZLCリストのモデルは、保存ボタンをクリックして再保存できます。
モデルを削除するには、モデルのリストの右上角にある「X」をクリックし、ポップアップ表示される確認アラートでOKボタンをクリックします。
保存したモデルは分析条件タブを使用してさらに最適化できますが、その後の作業セッションで化合物を化合物タブに追加したり化合物(タブから削除したりすることはできません。
モデルの印刷
ツールバーの印刷ボタンを選択すると、ブラウザの印刷ダイアログが表示され、モデルを印刷することができます。