Restek キャピラリーカラム設置ガイド - セクション III: 操作情報
A. スタンバイ操作
カラムを数日間使用しないが、装置をスタンバイ状態にしておく必要がある場合は、スプリットベントの流量を 10 cc/min に減らし(キャリヤーガスを節約するため)、オーブン温度を 100 ℃~150 ℃に維持します。オーブン温度をやや高温に保つことで、カラムヘッドへのセプタムブリードの蓄積を最小限に抑え、カラム使用時の過剰なコンディショニングの必要性を低減します。カラムをスタンバイ状態にするときは、キャリヤーガスが十分に供給されていることを確認してください。カラムを 3 日以上使用しない場合は、すべての加熱ゾーンをシャットダウンし、GCカラムを接続したままにする場合は、キャリヤーガスを止めず、必ず少量のガスを流した状態を保つようにしてください。ガスも止める場合は、カラムもシステムから取り外すようにしてください。
B. カラムの取り外しと保管
GC からカラムを取り外します。インジェクタや検出器のフィッティングにフェラルが残っていないことを確認します。グラファイトフェラルがフィッティングに残っている場合は、Tapered Needle File (cat.# 20106)を使用して取り除きます。Fileをフェラルに挿入し、しっかりとフェラルの内側にはまるまで少し回転させます。その後、力を加えながらFileを左右に少し動かしながら、フェラルをフィッティングから取り除きます。フェラルがフィッティング部分に一部残ってしまった場合は、フィッティングを分解してすべての部品を点検し、フェラルをきちんと取り除いてください。
保管中の固定相の酸化を防ぐため、カラムの端をセプタムに挿入します。ポリマーの損傷を避けるため、カラムは必ず元の箱に入れ、日光や蛍光灯を避けて保管してください。特に、Rtx-Wax、Rtx-624、Rxi-1301Sil MS、Rxi-624Sil MS、Stabilwax、Rtx-1301、および Rtx-1701カラム(ポリエチレングリコールおよびシアノシリコンポリマー)は、紫外線による劣化の影響を受けやすいため、必ず遮光して保存してください。
C. 汚染サンプルからの保護
不揮発性、または高分子量の残留物を含むサンプルは、固定相を汚染します。また、定量精度を低下させ、限られた注入回数でピーク分離度の低下を引き起こす可能性があります。メンテナンスの頻度を減らし、分析の効率を高めるために、ウール入りのインレットライナーの使用とガードカラムの設置が2つの具体的な予防策として推奨されています。
1つ目の予防策では、ウールを充填したインレットライナーを使用することで、サンプルからの残留物を捕捉し、キャピラリーカラムへの侵入を防ぎます。あらかじめウールが安定して充填されているプリパックライナーは、不活性化処理が施されており、活性部位が除去されているため、不活性度が高く、一般的に推奨されます。 また、ライナーに自分でウールを充填する場合は、シリンジ針の最大貫通距離の約1cm下にゆるく詰めたウールプラグを2cm幅程度となるよう配置します。ただし、充填量が過剰になるとカラムの性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。具体的な充填手順については、装置のマニュアルを参照してください。
固定相をコーティングしたパッキンは吸着性が高くなりやすく、カラムへのブリード要因になることがあるため推奨しません。特に、メチルシリコーンインレットパッキンを Carbowax PEG タイプキャピラリーカラムに使用した場合に問題なるため注意してください。
2つ目の予防策はガードカラムを使用することです。ガードカラムは不揮発性の汚染物を捕捉することで分析カラムの寿命を延ばします。Integra-Guardカラムには、分析カラムと同じチューブにガードカラム部分があらかじめ含まれています。ガードは、キャピラリーチューブの最初の5~10mの部分で、不活性化されていますが固定相コーティングはされていません。分析カラムと一体になっているため、分析カラム(カラムの固定相コーティング部分)とともにブリードテスト、不活性度テストが実施されています。Integra-Guardカラムを使用するもう1つの利点は、ガードカラム部分があらかじめ分析カラムに含まれているため分析カラムとの接続が不要で、接続に起因するリークのリスクがないことです。
従来型のガードカラムは、5~10mの不活性化されたチューブを、SilTite µ-Unionや Press-Tightなどのコネクタを使用して分析カラムインレットに取り付けます。取り付けための connectors についてはRestekからもご購入いただけます。また、 Restekでは、ガードカラムと分析カラムを工場で接続して出荷するサービスも行っています。一体型のIntegra-Guardまたは従来型の分離型ガードカラムのどちらを選択しても、インレット端がサンプル成分で汚染された場合、汚染部位を除去するために定期的にトリミングのため、カットする必要があります。
Suffix# |
Guard and Analytical Column Preassembled with SilTite µ-Union Connector |
-370 |
5 m, 0.18 mm Rxi guard column connected to 0.18 mm ID analytical column |
-371 |
5 m, 0.25 mm Rxi guard column connected to 0.25 mm ID analytical column |
-372 |
5 m, 0.32 mm Rxi guard column connected to 0.32 mm ID analytical column |
-373 |
5 m, 0.53 mm Rxi guard column connected to 0.53 mm ID analytical column |
-374 |
10 m, 0.18 mm Rxi guard column connected to 0.18 mm ID analytical column |
-375 |
10 m, 0.25 mm Rxi guard column connected to 0.25 mm ID analytical column |
-376 |
10 m, 0.32 mm Rxi guard column connected to 0.32 mm ID analytical column |
-377 |
10 m, 0.53 mm Rxi guard column connected to 0.53 mm ID analytical column |
D. フューズドシリカチューブの接続
コネクタは、ガードカラムとリストリクタを取り付けるために、または破損した分析カラムを修理するために必要であり、Restekでは、必要に応じた選択肢をご用意しています。Defined PressFit コネクタと Press-Tight コネクタは、両端にテーパーの付いた内径を持つガラスコネクタで、最も簡便かつ安価なオプションです。ポリイミド樹脂(cat.# 20445)を使用することで、コネクタの接続部をさらに強化し、接続が外れるリスクを低減できます。 また、別の選択肢としてSilTite µ-Unionコネクタもご用意しています。不活性化された金属製のSilTite µ-Unionコネクタは、取り付けが簡単かつデッドボリュームのない、耐圧性の高い頑健な接続を実現し、特に質量分析計での使用に最適です。また、MXT-Unionコネクタも一般的かつ効果的な選択肢で、破損しにくく、デッドボリュームを抑えることができます。
さらに、Vu2 UnionコネクタやSeCure「Y」コネクタは、Press-Tightコネクタのシンプルさとメタルユニオンの強度を兼ね備えており、最大400℃まで対応可能です。フューズドシリカカラムを接続する際は、良好なシールを確保するために、カラムをきれいに直角に切断することが重要です。また、新たに接続を行った際には、必ずRestekリークディテクタでリークチェックを行ってください。
E. ステンレススチールチューブの接続
MXT カラムを接続するには、特別なコネクタを使用する必要があります。MXT低デッドボリュームコネクタおよびMXT低デッドボリューム 「Y」コネクタは、Siltek処理が施され、不活性化されています。そのため、これらのコネクタを使用しても、システム内に新たな活性部位が出現することがないため、活性化合物の吸着やピークテーリングを抑えます。また、使用可能温度も高く、不活化層を劣化させることなく430℃まで使用できます。内径0.28 mmのMXTカラム(cat.# 20398)、内径0.18/0.25/0.32 mmのMXTカラム(cat.# 20535)、および内径0.53 mmのMXTカラム(cat.# 20399)に適合するステンレス製交換用フェラルのご提供が可能です。MXT カラムとフューズドシリカカラムとの接続には、専用の Vespel/グラファイトフェラルと一緒に MXT コネクタをご使用いただけます。フューズドシリカの Press-Tight コネクタは、チューブの外側にポリイミドコーティングがないとリークフリー接続が得られないため、MXT カラムには使用できません。
F. カラムのメンテナンス
カラムに高いブリード(オーバーナイトコンディショニングで減少しない)、活性成分の吸着、ピークのテーリング、相対保持時間の変化が生じた場合は、メンテナンスが必要です。カラムインレットから 2 ループ(約 1 メートル)をカットするだけで、大抵の汚染されたカラムは修復できます。カラムのインレット端を目視で確認し、汚染チューブがすべて除去されていることを確認します。汚染度の高いカラムでは、性能を許容範囲まで回復させるために 2 ループ以上のカラムカットが必要になることがあります。
G. 水およびその他の溶媒の注入
一般に、水やその他の溶媒を注入しても、溶媒がカラムの前段に到達する前に気化すれば(すなわち、スプリット、スプリットレス、または直接注入を行う場合)、結合相または非結合相キャピラリーカラムを損傷することはありません。ただし、キャピラリーカラムをコールドオンカラムモードまたは加熱オンカラムモードで使用すると、何らかの損傷が発生する可能性があります。損傷のリスクを低減するために、コールドオンカラム注入技術または加熱オンカラム注入技術を使用する場合は、Rt-2560 Stabilwax、Stabilwax-DB、Stabilwax-DA、Rtx-2330、およびRtx-225相での水およびメタノールの使用を避けてください。または、キャピラリーカラムインレットに5mのHydroguardガードカラムを取り付けることで、水やメタノールによるダメージを回避できます。Hydroguardガードカラムは、キャピラリーカラムに到達する前に溶媒を気化させます。水、メタノール、または他の溶媒を注入しても、注入モードに関係なく、Restekが提供する他の固定相を損傷することはありません。