PFAS分析の革新:食品接触材料(FCM)における熱脱着-ガスクロマトグラフ-質量分析法(TD-GC-MS)の応用
著者: Nancy Wolf1, Lina Müller1, Sarah Enge1, Tina Ungethüm1, Thomas J. Simat1
1. Chair of Food Science and Food Contact Materials, TU Dresden, Dresden
公開元: Food Additives & Contaminants: Part A
公開年: 2024年
本文全文のリンク: https://doi.org/10.1080/19440049.2024.2370371(英文のみ)
要約: ペルおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、キッチン用品向けのPTFEベースコーティングの製造補助剤や、紙やボードの添加物といった食品接触材料 (FCM) に広く使用されています。これらの使用が増える一方で、PFASが環境や健康に与える影響に対する懸念が高まってきていることから、FCMに含まれるPFAS濃度や、FCMから食品への移行状況をモニタリングする重要性が増しています。
本研究では、熱脱着-ガスクロマトグラフ-質量分析法(TD-GC-MS)を用いたPFASの分析メソッドを開発しました。これまでGC-MSによる分析はフッ素テロマーアルコール(FTOHs)のみが対象でしたが、今回の研究により、ペルフルオロカルボン酸(PFCAs)、ペルフルオロエーテルカルボン酸(PFECAs)、およびそれらの熱分解生成物であるペルフルオロエーテル(PFEs)やペルフルオロアルケンも、事前の誘導体化なしにGC-MSで分析できることが分かりました。
PFCAとFTOHのスクリーニングには、電子衝撃イオン化(EI)を用いた特異的なSIMフラグメントの分析を採用し、化合物の同定は、EIスキャンおよび化学イオン化(CI)SIM測定によって行いました。TD-GC-MS装置におけるPFCAs、FTOHs、およびPFECAsの検出限界(LOD)は、pgレベルと低い範囲を示しました。また、TD-GC-MS測定中のPFCAsとPFECAsの熱分解についても調査を行ったため、合わせて報告しています。
謝辞: この分析には、RestekのRtx-200msカラム (cat.# 15653)が使用されています。 Rtx-200msカラムの詳細についてはこちらをご覧ください