[2] クロマトグラムからわかること ピーク形状:サンプルマトリックスによりもたらされる反応性
30 Apr 2013クロマトグラムは指紋のようなものです。クロマトグラムを”読む”ことができれば、その原因を推測することができます。このシリーズでは、ユーザーの皆様からいただいたGCのクロマトグラムを示し、そこに現れている現象の潜在的な原因について説明しましょう。そして解決策を考えてみましょう。
図 1: 肝臓、血液、尿中の65HFAA誘導体化アンフェタミンをクリーンアップせずに71回注入した後の、非誘導体化アンフェタミン標準溶液の分析。緑のクロマトグラムが示す「反応現象によるクロマトグラムのトラブル(以降「反応現象」と記載します)」に注意してください。
図1のようなピーク形状が見られました。肝臓、血液および尿中の 65HFAA誘導体化アンフェタミンをクリーンアップせずに71回注入した後の、非誘導体化アンフェタミン標準溶液を分析した際の興味深いピーク形状です。
もともと、アンフェタミンとメタンフェタミンのピーク形状(赤いクロマトグラム)は良好でしたが、時間経過とともに緑のクロマトグラムのようにピーク形状が悪くなりました。前回のピーク形状に関するブログと同様に、「反応現象」が形成されているようです。
これはかなり汚いサンプルで、クロマトグラフィーへは大きな影響を与えます。
最初に疑われるのはライナーで、確かに問題を引き起こす可能性はあります。しかし、通常ライナーはこのような現象は引き起こさないと考えられます。ライナーにおける典型的な反応の場合、スプリットレス注入でもその分解物はシャープなピークになります。
今回の場合、マトリックスによって分析カラムの注入口側が汚染され、それがカラムに反応性をもたらしています。アンフェタミンがこの活性が生じた部分(注入口側)を通過する際に、分解されたと考えられます。
この現象を軽減するには:
カラムの注入口側の定期的なカット:
カラムは短くなり、保持時間に影響を与えますし、最終的には分離効率に影響します。
ガードカラムの使用:
不活性化処理されたフューズドシリカをガードカラムとして使用できますが、反応性が問題の場合、そのためにコーティングされたガードカラムも使用可能です。コーティングされたカラムは通常、汚染/活性化に対してより大きな「負荷容量」があり、耐久性は良くなります。
サンプル注入量を減らす:
注入量を減らしても検出限界が達成できるのであれば、ライナーとカラムの耐久性を延ばすことができます。
サンプルクリーンアップをおこなう:
余分な作業は必要となりますが、結局のところ良い結果をもたらします。