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[3] クロマトグラムからわかること ピーク形状: 液相カラムを用いた場合の過負荷

3 May 2013

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クロマトグラムは指紋のようなものです。 クロマトグラムを”読む”ことができれば、その原因を推測することができます。このシリーズでは、ユーザーの皆様からいただいたGCのクロマトグラムを示 し、そこに現れている現象の潜在的な原因について説明しましょう。そして解決策を考えてみましょう。


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図1. よく見られる現象です。ピークはリーディングしており、これは気液分離では過負荷の指標となります。分離は難しくなります。

ピーク形状が図1に示すようになってしまいました。ピークの立ち上がりはなだらかで、ピークトップにくると急激に落ちています。ピークのアシンメトリの要因は様々ですが、 結合型のシロキサンやポリエチレングリコールタイプの固定相を使用する気液クロマトグラフィーにおいて、成分が過負荷である場合の典型的なピーク形状がこのピーク形状です。

このピークが近傍のピークから十分に分離されている場合は、その面積値はカラムへ導入された絶対量を表すのでこの値を用いることができます。

このピークの近くに別の成分が溶出する場合は問題が生じます。

これを解決するには:


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図2.カラムへのサンプル導入量を50%に減らすと、ピークはより対称になるため分離は改善されます。

サンプル注入量を減らす:
使用しているキャピラリーカラムのサンプル負荷量の範囲内で注入します。サンプルの希釈や注入量を減らしたり、スプリット比を上げることでサンプルのカラムへの導入量は下げることができます。図2にカラムへの導入量を50%に減らした場合の分離を示します。

サンプル負荷量の高いカラムを使用する:
カラム内により多くの固定相があれば、サンプル負荷量は増大します。最も簡単な方法は、同じサイズのカラムで膜厚だけ厚くすることです。留意すべき点は、膜厚を厚くしたり、長さを長くすると保持時間が増大するということです。オーブン温度を高くすることで保持時間の増大を補える場合もあります。膜厚が2倍厚くなる毎に、同等の保持時間にするにはオーブン温度を15℃高く設定する必要があります。 サンプル負荷量を上げるために、より長く、より内径の大きなカラムを使用することもできますが、膜厚を厚くする方がより効果的です。無極性カラムの最大膜厚はおよそ5~7μmで、極性カラムの最大膜厚は約 2μmです。膜厚を厚くした場合、キャピラリーカラムの効率はVan Deemterの式におけるCl項の増加のために急速に低下します(これは成分が液相にある場合に生じるバンドの広がりによるものです)。


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図3.非極性カラムでの極性化合物(酸)は過負荷になりやすく、その結果サメのひれのようなピーク形状となります。


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図4.酸はStabilwax-DAのような極性相への溶解性が高く、高濃度でもピーク形状は良好です。

目的分析種に対してより良好な溶解度の相を使用する:
液相への溶解度が非常に低いためにピークがサメのひれのようになる場合があります。図3にRtx-1を使用した場合の遊離脂肪酸のピークを示します。液相を厚くしても依然として過負荷が生じます。Stabilwax-DAのような酸に対して不活性な極性カラムを使用すると、これらの高極性化合物へのサンプル負荷量は非常に高くなります(図4を参照)。