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[4]クロマトグラムからわかること ピーク形状: 吸着剤を固定相としたPLOTカラムの過負荷

7 May 2013

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クロマトグラムは指紋のようなものです。クロマトグラムを”読む”ことができれば、その原因を推測することができます。このシリーズでは、ユーザーの皆様からいただいたGCのクロマトグラムを示し、そこに現れている現象の潜在的な原因について説明しましょう。そして解決策を考えてみましょう。


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図1.アルミナカラムによる炭化水素の分離を示しています。テーリングの影響でブテンの異性体分離ができていません。 吸着クロマトグラフィーにおけるテーリングのほとんどは過負荷によるものです。

Rt-Alumina BOND/KClカラムで炭化水素の混合物を分析しました。ピーク形状が図1のクロマトグラムに示したようになりました。ブテンがテーリングし、分離が悪くなっています。通常、テーリングはカラムに存在する活性部位によって引き起こされます。

この場合、固定相は吸着剤であるアルミナです。ここでの分離機構は、気‐液クロマトグラフィーとは異なる、気‐固クロマトグラフィーに基づきます。気‐固クロマトグラフィーでは、成分と吸着剤表面とが相互作用します。このため過負荷による現象も異なってきます。図2にその影響を示します。Rtx-1のようなポリマーを固定相としている場合、過負荷によるピークはなだらかに立ち上がり、その後急激にベースラインまで下がります。気‐固クロマトグラフィーでは、この反対になります。成分が溶出してくるとピークは急激に立ち上がり、ピークトップからベースラインにもどるまではなだらかに下がっていきます。


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図2.過負荷成分のピーク形状。左:気―液相互作用 右:気―固相互作用

これが図1で観察されたことです。ブテンのピーク形状は過負荷によるものです。

図3にRt-Alumina BOND/KClカラムへ1成分あたり5もしくは50 ng注入した場合の影響を示します。過負荷による影響は明確です。また、過負荷によるピークのピークトップの保持時間が早くなることにも注意してください。

この現象は、全てのPLOTカラム(Porous Layer Open Tubular)および同等のパックドカラムにおいて起こります。ShincarbonやMolsieve 5Aおよび13XやSilicagel、Rt-Q、QS、SおよびU BOND、AluminaBOND/MAPDおよびCFCなどの一般的な吸着剤は、過負荷に対し同じ症状になります。

 


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図3.カラムへの導入量が少ないほど、ピークはより対称的になります。過負荷時のピークの保持時間の変化にも注意してください。

ピーク形状を改善するには:

Aluminaカラムへの注入量を減らす。
これは注入量を減らすもしくはスプリット比を上げることで実行できます。感度が良好な設定にすることで最善の結果を得られます。

サンプル負荷量/負荷容量のより高いカラムを使用する。
PLOTカラムは層の厚さに制限がありますが、内径の太いカラムは膜厚が厚くなります。サンプル負荷量を上げるためには、内径0.53 mmカラムを使用してください。