[7] クロマトグラムからわかること ピーク形状: 単一のピークのみがテーリング
20 May 2013クロマトグラムは指紋のようなものです。クロマトグラムを”読む”ことができれば、その原因を推測することができます。このシリーズでは、ユーザーの皆様からいただいたGCのクロマトグラムを示し、そこに現れている現象の潜在的な原因について説明しましょう。そして解決策を考えてみましょう。
図1. 単一のピークのみに強いテーリングが見られます
新しいカラムで、図1. に示したようなクロマトグラムが得られました。これは極性化合物のテストミックスを注入し、カラム取付け後の確認をおこなったものです。 最後に溶出するピークを除けば、全て良好なシャープなピーク形状です。どこかに活性点があると考えられます。活性点は、ライナー、カラムもしくは検出器に挿入されている部分やトランスファーラインの可能性もあります。
まずはテーリングしているピークの化合物種を確認しましょう。酸でしょうか、塩基でしょうか、あるいはジオールのような極性の高 い化合物でしょうか?
ライナーのガラスウールは注入時のテーリングを引き起こすような活性点となり得ます。注入口の温度も確認してください。
グラファイトフェラルを使用してカラムを取付ける際、グラファイトくずがカラムに入ってしまうことがあります。カラムを取付け直すし、付け直す際はカラムの入り口側2-3 cmをカットしてみてください。新しいフェラルを使用する場合は、注入口へカラムを取付ける前に、フェラルを「固定」しておくのもいいでしょう。フューズドシリカにフェラルが固定され、正しい位置にカラムを取付けやすくします。
Agilent GCへのカラムの取り付けについてはこちらをご参照ください。
検出器側のカラム取付け位置も確認してください。検出器にも活性点はあり、最も極性の高い化合物の吸着が最初におこります。カラムの先端をフレームの先端近くにする必要があります。
また、分析種に適した固定相の種類とサイズが選択されているかどうかも確認してください。膜厚の薄いカラムを使用している場合、低い温度で溶出してくる成分のピーク形状が悪くなることがよくあります。
最新の結合相タイプのカラム(Rxiカラム 高い不活性度が正確な微量分析を保証します)の検討も選択肢の一つです。
優れた不活性度はアプリケーションの幅を広げます。図1に示したサンプルを Rxi-5Sil MSで分析した結果は良好でした。図2および図3をご参照ください。この場合、ピークのテーリングの原因はカラムそのものの活性点でした。
図2 同じサイズのRxiカラムでサンプルを分析すると、問題のあったピークの対称性は良好で、より正確な分析が可能となりました。
図3. 問題のあったピークの拡大
分析種が塩基性化合物の場合は、塩基性不活性化処理をされたGCカラムが適しています。このカラムは、アミン含有化合物の分析に対して良好で耐久性があります。揮発性アミン用には、専用カラム (Rtx-Volatile amines)があります。以下をご参照ください。