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Topazライナーでアミン分析精度向上!GC解析における優れたレスポンス

2 Apr 2025

アミンはその高い活性により、注入口ライナーやカラムなどのクロマトグラフィーシステムの表面に強く吸着しやすい特性を持っています。この特性によって、化合物のレスポンスが失われる、ピークテーリングが発生するなど、アミンのGC分析には問題が発生します。このような問題を軽減する方法として、不活性化処理が有効であることが知られています。しかし、すべての不活性化処理が同じ効果を発揮するわけではなく、その品質や効果にはばらつきがあるため、信頼性の高い不活性化処理を選定することが重要です。特に、第一級アミンはライナーやカラムによく見られるシラノールなどの活性酸性部位と相互作用しやすく、その分析がさらに困難になります。クロマトグラフィーにおけるアミンの影響を理解し、適切な対策を講じることは、精度の高い分析を行うためには欠かせません。この知識を活かし、最適な装置と技術を選定することが、信頼性の高い結果を得るための鍵となります。

Restekは、ライナーとカラムの両方に対して塩基性不活性化処理をおこなっています。これは、分析システム内でのアミンなどの塩基性化合物との有害な反応を抑制するためのものです。この処理により、塩基性部位を持つガラス表面は不動態化され、化合物間の相互作用が最小限に抑えられるので、クロマトグラフィーの精度が向上します。Restekが2017年に発表したTopaz注入口ライナーは、最新の不活性化技術によるプレミアムライナーです。このTopazライナーに関するよくある質問の一つが、「Topazライナーは、塩基性不活性化ライナーと比較して、アミン分析においてどのような優位性があるのか?」という点です。この疑問に対して、Restekは実際にこの2つの不活性化技術に対する活性化合物のレスポンスを比較する実験をおこないました。

比較実験に使用したメソッド条件はTable 1を参照ください。第 一級アミン、第二級アミン、複素環アミン、エタノールアミン、アニリンを含む混合物(Figure 1を参照)に関して、Restekの塩基性不活性化ライナーおよびTopaz不活性化ライナーを使用したそれぞれのレスポンスを確認しました。テストは濃度レベルを変えて2回行われ、7本ずつそれぞれの不活性化ライナーを使用しました。ライナーの形状はウール入りシングルテーパー、注入方法はスプリットレスモードを採用しました。この条件は不活性度を厳密に評価するためのものです。

 
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Table 1: アミンのレスポンス評価のための、各ライナーを使用したテスト用メソッド条件


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Figure 1: 各ライナーを使用してテストを実施したアミン(化学構造はWikipediaより)

Figure 2は、4種類のアミン(濃度5~10 ng)に関して、2つの不活性化ライナーに対するレスポンスファクターを比較したものです。 ピリジンと2,6-ジメチルアニリンは、両方の不活性化ライナーにおいて性能に差はありませんでした。 一方、ジエチレントリアミン(DETA)やジエタノールアミン(DEA)のような分析が難しいアミンに関しては以下の様な差があります。それぞれの化合物において、Topaz不活性化ライナーのレスポンスファクターが高い反面、ジエタノールアミン(DEA)に関する相対的なライナー間ばらつきは、塩基性不活性化ライナーに比べてTopazライナーの方がわずかに大きくなりました。 ジエチレントリアミン(DETA)は、2つの第一級アミンと1つの第二級アミンを含むため、GCによる分析が非常に難しいです。 ジエタノールアミン(DEA)には1つの第二級アミンがありますが、アルコール基も2つあり、この反応性が高いです。


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Figure 2: スプリットレス注入、濃度5-10 ngでのTopazライナーと塩基性不活性化ライナーでのアミンのレスポンス比較

Figure 3は、同じく4種類のアミン(濃度2.5-5 ng)に関して、2つの不活性化ライナーに対するレスポンスファクターを比較したものです。 この濃度でも、ピリジンと2,6-ジメチルアニリンは両方の不活性化ライナーにおいて性能に差はありませんでした。一方、濃度5 ngのジエチレントリアミン(DETA)は塩基性不活性化ライナーでは不検出でした。ジエチレントリアミン(DETA)に関するTopazライナーのライナー間ばらつきは大きかったですが、7本ともレスポンスが確認されました。Topazライナーはまた、ライナー間ばらつきはあるものの、塩基性不活性化ライナーと比較してジエタノールアミン(DEA)に対して良好なレスポンスを示しました。


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Figure 3: スプリットレス注入、濃度2.5~5 ngでのTopazライナーと塩基性不活性化ライナーでのアミンのレスポンス比較。濃度5 ngのジエチレントリアミン(DETA)は、7本の塩基性不活性化ライナーでは不検出。

上記の実験によって、Topazライナーは塩基性不活性化ライナーと比較して、今回テストした最も分析が難しいアミン化合物に対して一般的に良好なレスポンスを示したことが実証されました。