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GC/MS永久ガス分析に最適なカラム選択ガイド 

14 May 2025

テクニカルサービスには、日々多くのお客様から分析に関するご相談が寄せられます。中でも特に多いのが、「GC/MSで永久(固定)ガス分析を行うには、どのようなカラムを選べば良いのか?」というご質問です。本来、カラムの選択は分析対象や目的、そして使用する装置の特性を考慮して決定されるべきものですが、永久ガス分析においてはGC/MSの特性がボトルネックとなり、分析を困難にしているケースが少なくありません

GC/MSは、複雑な混合物中の微量成分を高感度かつ高精度に分析できる強力なツールですが、永久ガス(水素、ヘリウム、酸素、窒素、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素など)の分析においては、課題が残ります。理論的には、質量分析計を高度に調整し、永久ガス中の非常に低い質量電荷比(m/z)を持つイオンを正確に検出できれば、GC/MSによる分析も不可能ではないかもしれません。しかし多くの場合、干渉化合物も同様の低いm/zを示すことがあり分析には課題が残ります。

質量分析計を用いる場合でも、可能な限り良好な分離を得ることが求められるので、カラムの選択は重要です。冷却装置なしで分離を実現できるカラムは、モレキュラーシーブカラム(ゼオライトまたはカーボン)などです。ただし、二酸化炭素や水分は、Molesieve 5AMolesieve 13Xのような多くのゼオライト系モレキュラーシーブの細孔に吸着されます。この点はご注意ください。一般的な質量分析計ではキャリヤーガス流量に制限があるため、パックドカラムは通常使用できません。したがって、選択肢はほぼPLOTカラムに限定されます。PLOTカラムの充填剤は粒子状であるため、質量分析計(特にターボポンプ)への粒子の混入には細心の注意が必要です。パーティクルトラップを使用することで、ほとんどの粒子を捕捉できますが、トラップを通過して質量分析計内部に到達する粒子もゼロではありません。また、PLOTカラムとパーティクルトラップを接続するコネクタも、新たなリーク源となる可能性があります。

質量分析計は永久ガス分析に最適な検出器ではない、と言えるでしょう。では、どのような検出器を使用したら良いでしょうか?汎用検出器である、熱伝導度検出器(TCD)、マイクロ熱伝導度検出器(µTCD)、放電イオン化検出器(DID)、ヘリウムイオン化検出器(HID)が最も一般的と考えます。ただし、キャリヤーガスと同じ化合物は検出できない(例えば、キャリヤーガスに窒素を使用している場合は窒素を検出できない)点に注意が必要です。多くのDIDおよびHIDは、検出器の正常な動作にヘリウムを必要とするため、ヘリウムの検出には適していません。

永久ガス分析にGC/MSを通常使用している方がいれば、ぜひその成功の秘訣をご教示ください!