キャピラリーGCカラムキラー(カラムを劣化させる原因) – Part 1(日本語)
16 Mar 2016ほとんど分析者は、高温の状態で、酸素がキャピラリーGCカラムに入ると、固定相を損うので、使用温度範囲より高い温度でカラムを使用してはいけない事を知っています。しかし、サンプルのpHや誘導体化試薬、自然界の硫黄成分、水分の注入など、あまり知られていないキャピラリーカラムの劣化原因もあります。そこで、これから4回に分けて、カラムを劣化させる原因についてシリーズで述べたいと思います。
定量的なデータとしてお示しはできませんが、これらの情報は、経験豊かな分析者から提供された物であったり、個人的に得た経験とフィードバックに基づいたものです。これらのトピックスは決して、包括的なものではありませんが、サンプルをカラムへ注入する際に、そのサンプル中になにが含まれているのかを今一度考えてみることをお勧めします。
また、これらの内容はクロスリンク(化学結合)された固定相に特有であることにご注意ください。クロスリンクされていないカラムや部分的にしかクロスリンクされていないカラムの場合、一般的にはダメージを受けやすく、カラム寿命が短くなったり、ブリードがより高くなる可能性があります。
極端なサンプルのpH値
キャピラリーカラムに導入されるサンプル/抽出物のpHが、5~9の範囲外の場合、固定相やフューズドシリカの不活性処理層にダメージを与える可能性があります。サンプルpHがこの範囲外の場合、カラムブリードが大きくなったり、分離が悪くなったりする可能性があります。サンプル/抽出物のpHがこの範囲から大きく外れているほど、カラムはダメージを受けやすくなります。
もしあなたのサンプル/抽出物が、安全なpH範囲を越えている可能性があれば、pH試験紙で事前にpHを確認することをお勧めします。
Photo courtesy of VWR Lab Shop .
あなたのサンプル/抽出物のpHが5-9の範囲外にあるようなら、注入する前にまずpHが5-9の範囲に入るように、調整する必要があります。これにはいくつかの方法がありますが、最良の方法は、pHが5から9となるように、サンプル/抽出物を希釈することです。緩衝塩を使用すると、塩がカラム内に析出してダメージを与える可能性があります。さらに 「緩衝」は、サンプル/抽出物中の目的成分に影響を与える可能性もあります。
- 塩基性化合物の分析:
Rtx-Volatile Amine、Rtx-5 Amine、Rtx-35 Amine及びStabilwax-DBをご使用の場合には、推奨サンプルpH範囲は7~9です。
- 酸性化合物の分析
Stabilewax-DAをご使用の場合には、推奨サンプルpH範囲は5~7です。
ご参考になれば幸いです。どうぞ、このシリーズのパート2-4も参考になさってください。