逆相LCで分析時間を短くする方法
6 Nov 2014The original English blog was posted on November 7th, 2014 by Nancy Schwartz
逆相LCの高速化にはいくつかの方法がありますが、おおよそ4つにまとめられます。
1. 短いカラムを使用する
分析対象物が十分に保持されているとき,分析対象物が1種類だけもしくは少数で,かつクロマトグラム上で近接するピークがないときは、この方法が適しているでしょう。ただし、新しいカラムを購入する必要があり、長さ(L)を短くすると、カラムの理論段数(N)も少なくなります。良いニュースは、最終結果が予想よりも良いかもしれないということです。カラムの長さを2分の1に短縮しても、分離度(R)はNの平方根に比例するため1.4分の1になり,Rは2分の1にはなりません。
2. 既存カラムで条件を最適化する
以下より微調整できそうな点がないか確認してください
流量 – まず,最適流量未満で分析を行っているのであれば,システムの許容範囲内でもう少し流量を上げるべきでしょう。次に完全に対称なピーク形状や他のピークとの分離を必要としないのであれば,最適とされる流量を少々上回る設定も可能です。
移動相 – まだ確認していないのなら,移動相の有機溶媒濃度を増やしてみてください。他の有機溶媒を試してみることもできます。Biphenylのような固定相ではメタノールのほうが良い選択性を示すことがあります。一方,アセトニトリルは一般的に極性が低いため保持が短くなるといわれています。溶媒は分析条件毎に選択する必要がありますが,時にはその効果に驚かされることがあるでしょう。(なお,これは逆相LCの場合のみですのでご注意ください。)
グラジエント – 初期の有機溶媒濃度を高めに設定したり,より速く有機溶媒濃度が上がるような勾配を試してください。
温度 – 温度を上げてみてください。これは通常物事をスピードアップし,分離を向上させることもあります。なお,カラムで推奨されている温度は超えないようにご注意ください。Restek 製 HPLCカラムの一般的な上限温度は80℃です。
3. 粒子径の小さいカラムを使用する
カラム効率が向上し、高流量でも効率が維持されます。これは、上の2つの式で示されるように、分離の効率は粒子径に反比例するためです。下のグラフは、理論段高さに相当するHに対する線速度の影響を示しています。Hの値が小さいほど分離効率が高く、単位長さ(L)あたりの段数(N)が多いことを意味します。
単位長さあたりの段数が増えるので、同じ長さを維持して分離を改善することも、短い分析時間で同じ分離が得られるように適度にカラムを短くすることも可能です。粒子径とカラム長の関係は次の式で表されます。
小さい粒子径に対する別の選択肢には流量を上げることもあります。というのはカラムサイズが同じであるなら,同じ固定相で粒子径の大きいカラムと比較して,高流量でも効率が落ちないからです。参考として,上のH対線速度µのグラフをご覧ください。なお,内径を小さくするとき同じ線速度を得るためには,流量も下げなければならないため,この点も考慮する必要があります。一般的には内径を小さくすることは分析時間を短縮するためではなく,溶媒を節約するために有用です。
粒子径を小さくすると背圧も上がるので,使用する粒子径を決める際には装置の耐圧も考慮する必要があります。当社のForceなどサブ2 µm粒子のカラムを使用するには、UHPLCシステム(最大1000 bar以上の圧力に対応)が必要です。
4. 表面多孔質(superficially porous particle : SPP)カラムを使用する
Restekの製品群で言うと,Raptorカラムが該当します。コアシェルカラムの利点についての簡単な説明が「SPPって何?どんなときにRaptorカラムを使うべき?」というブログ記事にあります。SPPカラムを使用するとピークが大幅にシャープになるため,分析の全体的な感度も向上します。しばしばUHPLCではないLCを使用してUHPLCレベルのデータが得られています。2.7 µm と 5 µmどちらのカラムを使用するかヒントがほしい場合は,「2.7umと5um、どちらのRaptorカラムを使えばよいのでしょうか?」というブログ記事をご参考ください。
この記事がお役に立つことを願っています。お読みいただき有り難うございます。