PLOTカラムとパーティクルトラップの最適な活用法
14 May 2025PLOT (Porous Layer Open Tubular) カラムは、内壁に吸着剤の粒子層が堆積された構造を持ち、主に軽質成分や不活性化困難なガス成分の分離に使用されます。しかし、急激な圧力変動やキャリアガスの切り替えが行われた場合、固定相粒子がカラム内壁から脱落し、検出器や流路部品に移動するリスクがあります。このような粒子の流出を防ぐ目的で用いられるのが、パーティクルトラップです。
パーティクルトラップは、0.2〜0.5 µmのRtx-1相で内面がコーティングされた長さ2.5 mのフューズドシリカチューブで構成され、カラム出口側に装着されます。コーティングされたRtx-1相が脱落粒子を吸着し、「接着剤」のように働くことで、粒子が検出器に到達するのを防ぎます。Rtx-1相は100%ジメチルポリシロキサンから構成される非極性固定相であり、主に分散力によって化合物と相互作用します。このため、トラップ内に付着した粒子が分析対象化合物を保持・吸着することはほとんどなく、保持時間やピーク形状への影響は極めて小さいと考えられます。
パーティクルトラップは、特にバルブ切り替えを伴う分析系で使用されることが多く、バルブとPLOTカラムの間にPress Tightコネクタを用いて接続されます。ただし、長期間使用した場合、Press Tight内部に粒子が蓄積し、流路が狭くなる可能性があるため、定期的な点検と交換が推奨されます。
従来のPLOTカラムでは粒子の脱落が比較的多かったため、パーティクルトラップを常に付属品として提供していました。
しかし、最新のPLOTカラムでは、粒子の安定化および結合処理技術が進化しており、通常の用途ではパーティクルトラップを使用せずに運用可能となっています。ただし、以下のような特殊な条件下では、パーティクルトラップの併用が推奨されます:
- 急激な圧力降下が予想されるバルブの切り替え時
- PLOTカラムを質量分析計(MS)に接続する場合
MSなどの高真空系と接続する場合は、粒子の脱落を抑えるためにより細い内径のPLOTカラムの使用が効果的です。さらに、PLOTカラムと検出器の間に5 mのフューズドシリカカラム(液相:Rtx-1またはRtx-5)を装着することで、粒子の物理的トラップおよび検出器の保護を両立できます。これらはPress Tightコネクタを用いて接続可能であり、適切な手順を踏めばMS使用時でもリークの心配はありません。
また、輸送中に粒子の脱落が起こる可能性があるため、カラム使用前には以下のコンディショニング作業が推奨されます:
- 通常のキャリアガス流量より30%多い流量でフラッシングを行う
- 使用温度より10〜20°C高い温度でプログラム(※最大使用温度は超えないこと)
これにより、輸送中に緩んだ粒子をあらかじめ除去し、カラムを検出器やバルブに安全に接続できる状態に整えることができます。